~知られざる通訳の仕事と芸術性~

ピッチ外での通訳の仕事

通訳と聞くと、インタビューや試合での通訳を思い浮かべる方は多いのではないでしょうか?

チームによってもやり方は変わってくる部分もありますが、基本的なJクラブの通訳は、よく見かける選手のピッチ内の言葉のサポート、そして実はピッチ外のサポートもあります。

ピッチ外では選手が日常生活をストレス無く過ごしてプレーに専念できるように整えていくのが仕事で、選手によって何をやるか、どんなサポートをするかは少し変わってきます。

子供や家族がいる選手なら、奥様の美容に関わるお店を探したり、子供の通う学校を探す事もあります。

美容と言ってもダイエットなのか、マニキュアなのか、散髪なのか、何をどうしたいのかでも変わりますし、子供の学校もインターナショナルスクールなのか日本の学校なのかなど要望は多岐にわたるでしょう。

通訳をやってみて最初の頃は、僕自身がインターナショナルスクールに通った経験がなかったり、子供もいないので法律や制度も中途半端にしか分からないなど、実は語学以外の事で戸惑ったりもしました。

日本人が日本人として日本に住む事と、外国人として日本で住む事では違う部分もあります。

日本で生まれ育った私には外国人が日本に住むためのビザの細かい条件や運転免許の取得方法までは当初よく分かりませんでした。

外国人だと契約に制限があるサービスが存在したり、日本人が日本人として暮らす分には気付かなかった事もありました。

初めての海外挑戦という若くて独身の選手であれば、日本のスーパーの生まれて初めて見る商品の説明文が分からず、食品がうまく揃えられずにコンディションに関わる可能性もあるので、最初の頃にはある程度一緒にいる時間を長くしています。

「何番のセルフレジで会計してください」と日本語で言われると戸惑うでしょう。

「お箸は要りますか?」「袋は3円になりますが必要ですか?」の質問も混乱します。笑

ピッチ内でよく使うサッカー用語であれば数が限られているので、私が取り組んでいる工夫としては、Wordや私の公式Noteの記事に重要サッカー単語をまとめておいて、それを渡して覚えてもらうようにしています。

しかし日常の日本語はほぼ無限大なので、やはり近くで慣れるまでサポートし、タイミングを見て自立させていくバランス感覚も必要なのかなと考えいます。

写真:サッカーで使う日本語