[J3第7節、栃木SC 1-1 栃木シティ、3月30日、カンセキスタジアムとちぎ]
栃木SCはホームに栃木Cを迎えた『栃木ダービー』を、1‐1で引き分けた。
この試合でボランチとして先発出場したMF吉野陽翔(はると)は、中盤の潰し役として相手チームのチャンスの芽を摘んだ。
初の栃木ダービーは痛恨の痛み分け
昨季J2から降格した栃木SCとJFLからJ3参入を果たした栃木CによるJリーグ史上初の栃木ダービーを観戦しようと、1万2807人の観客がカンセキスタジアムとちぎに押し寄せ、試合開始前から両チームサポーターの声援が鳴り響いた。
試合は序盤から栃木SCがアグレッシブにボールを奪いに行き、栃木Cにリズムをつくらせなかった。
スコアレスで迎えた前半36分、栃木CのDFが出したバックパスのミスを見逃さなかったMF五十嵐太陽が飛び出してきたGKをかわして左足でシュートを放ち、冷静に無人のゴールに転がして決めてみせた。
ゲームは栃木SCの勝利に終わると思われたが、試合終了間際の後半45分にコーナーキックの流れからアウェイチームに痛恨の同点ゴールを許し、ダービーは痛み分けに終わった。
栃木SCのアカデミーで育ち、立正大を経て今季から同クラブに帰還した吉野は、自身としても初のダービーに懸ける想いは強かったが、あと一歩のところで勝点3を取り逃した。
栃木SCの背番号47は「先制点を決めて、そのまま勝ちきりたかったですけど、最後に失点したのはすごく悔しいです」と終盤に追いつかれた試合を振り返った。
立正大の先輩とプレーできる環境は「安心感がある」
吉野は今季、大卒ルーキーながらここまでリーグ戦全7試合に出場。
開幕戦こそ途中出場10分の出場時間にとどまったものの、第3節テゲバジャーロ宮崎戦以降はスタメンに定着している。
同選手がプロデビューをしてすぐに安定したパフォーマンスを発揮できている一因は、立正大でもともにプレーをした先輩のMF青島太一とDF平松航(わたる)の存在が大きい。
期待の大卒ルーキーは「(青島選手は)大学のときも一緒に出たりしていました。(平松)航くんも含めて安心感があるので、声をたくさんかけてくれて、すごく助かっています」と先輩に助けられている。
特に今季ボランチのコンビを組む青島について「ポジションが一緒ということもあって、ポジショニングだったり、『ここが空いてるよ』とか、『守備のときこうして』とか、お互いにコミュニケーションを取り合ってる。そこはやりやすいですね」と大学時代から続く関係性がプロの舞台で戦っていくうえでも助けとなっていると明かした。
栃木SCは次節、4月6日午後2時から栃木県グリーンスタジアムでヴァンラーレ八戸と対戦する。
現在リーグ戦7試合2勝2分3敗で20チーム中12位の同クラブは、1年でのJ2復帰のために今後も負けられない試合が続く。
アカデミー出身のボランチは「ここから勝ち続けるしかない。複数得点がないので、もっとゴールを意識してやっていきたいです」とチームの順位浮上のために、得点に絡んでいきたいと意気込んだ。
W杯出場の元日本代表FW矢野貴章、国家試験のITパスポート試験に合格!「学ぶにつれて徐々にパズルが埋まっていくような感覚」
チームメイトに支えられながら成長を続ける背番号47は、さらなる飛躍を目指す。
(取材・文 Ryo)