━━少し話を戻しまして、岩政選手の現役最後のゴールは能登選手からのコーナーキックをヘディングで決めたものでしたが、お二人の出会いはタイ時代に遡ります。その頃の印象やエピソードなどがあれば教えてください。
能登
出会いは僕が「腹筋を教えてください」と大樹さんに聞きにいったところですよね(笑)
岩政
そうだった、そうだった(笑)
能登
当時、二駅から三駅ぐらいのご近所さんだったんで、大樹さんの家によく行っていたんです。
岩政
僕らがタイにいた時代はけっこう日本人選手も多かったんですが、他の日本人選手の多くは僕にあまりコンタクトを取ってきてくれなかったんですよ。
あ、もちろん、会えば挨拶ぐらいはしますよ(笑)
でも、わざわざ連絡先を交換して「飯に行きましょうよ」みたいな話にまではなかなか至らなかった。
ジュビロ磐田などでプレーされていた河村(崇大)さんとか上の年代の選手とはあったんですが、下の年代の選手は僕のことを怖いのか遠慮しているのか全然なかったんです。
そんな中でマサは一人だけ変わっていて、ずけずけとこっちに進入してきた(笑)
━━「お、面白いやつがいるなぁ」と?
岩政
はい。でも、これってプロに入った後にすごく大事なことだと自分が感じていたポイントで、どこのチームでもある話なんですが、先輩という存在はいつまでもいるようで実はすごく限られた時間しかいないんですよ。だからこそ、その間に自分から先輩に求めにいかないとなかなか還元されない。
そういう意味で、先輩に入り込んでいくことは大切だと考えていました。特に自分は若い選手にこちらから話しかけていくタイプの人間ではないので。
なので、マサの振る舞いを見て、「あ、彼は今までこうやってきた選手で、それで今があるんだろうな」と感心して見ていました。