能登
ただ、結果を見ると周りからは間違っていたと言われるかもしれないですけど、やっている僕は決して間違っているとは思っていませんでした。
岩政
シーズン途中にはなかなか勝てない時期もありましたが、その中でもネガティブな空気は出ずにチームは回っていたので、その辺りは良かったですね。サッカーをする楽しさみたいなものもチームにはあった気がします。
━━なるほど。良い空気感を維持しながらシーズンは戦えていたと。
岩政
後、これも社会人サッカーの難しさですが、俗に言う「志の高いサッカー」を目指せるチームが少ないんです。もしかしたら、判断を選手に委ねずに前に蹴り込むようなサッカーのほうが勝てた確率は高かったかもしれません。このカテゴリーだけを見ればですが。
ただ、そのような勝ち方をしても意味がないと思っていたので、ちょっと上を見るぐらいのレベルのサッカーを目指すほうに意味を持たせていました。そのような考えでチームを作っていったことは選手たちにとってもプラスになったと信じています。
今のチームの状況を考えた時、選手に別の視点を与えられた、新しいサッカーに取り組めたというだけでも意味はあったんじゃないかと。
このチームに入った時に皆にも話しましたが、東京にクラブが出来た、そして、そのクラブがJリーグに参入する、そこで優勝争いをしていると想像した時、やはり、エンターテインメント性は求められるんじゃないかなと考えていました。
リスクを回避した結果重視のサッカーではダメで、この都心にいる人たちに「試合を見に行こう」と思わせるには、もちろん勝つことは大事ですが、面白さは必要になるなと。
なので、この二年間も「志の高いサッカーをしながら勝てるチームを目指そう」という思いがベース。そして、僕はこの道が正しい、これが最終的には勝つ方法だと思ってやってきました。
ただ、そのようなサッカーを選手に根付かせることに思ったよりも時間がかかったなぁという感覚もあります。判断を自分に委ねられるということに頭を悩ませる選手が多かったんですよね。「言われたことをやることがサッカー」という環境で育ってきた結果なのかもしれませんが…。
能登
たしかに、そういうこれまでの環境との差が生んだ課題は大きかったですね。