マンチェスター・シティ(昨季1位)【開幕戦、第2節観戦】

【省エネしながら危なげない滑り出しも、忍び寄る疲労の影】

・Positive Aspect

新戦力のMFフェルナンドもチームに適度にフィットしており、チームの方針や軸には悩まされることはないだろう。昨シーズンのフットボールを継続するのに、大きな問題はない。また、前線を支えるジェコが好調。エースが前線を牽引すれば、上手く省エネで勝ち点を取って行ける可能性も。第2節のリバプール戦では、シルバとサバレタの頭脳的なプレーでサイドを起点にリバプールの中盤守備を切り裂いた。CBの2人はW杯での実戦感覚をいい感じに生かしており、コラロフやクリシーといったサイドバックも好調。守備を安定させて、勝ち点を取って行きたいところだ。また、2戦目でリバプール相手に見せつけた勝負運びの上手さは別格。ダビド・シルバはやはり別次元に生きており、相手の守備をアッサリと崩してしまうような仕掛けは健在。

・Negative Aspect

コンディション面の重さは、危惧した通り。W杯帰り組はDFラインを除けばコンディションを落としており、ヤヤ・トゥーレに至っては運動量が非常に少ない。フェルナンジーニョ、シルバ、トゥーレ辺りが本調子に戻るのに時間がかかるとなると、暗雲が立ち込める展開にも。シルバのサポートが求められるナスリも、未だ要求されるレベルには達していない。溌剌としたチームとのトランジション・ゲームをどうやって避けていくか。また、ジェコ不在時にはリトリートした相手との試合が厳しい。アグエロとヨベティッチのような2トップでは、スペースのない状態を打開するような手が限られてきてしまうかも。前半戦、時には2戦目のように相手を呼び込むようなフットボールが求められる試合も増えてくるのではないか。

・New Player

フェルナンド

昨シーズン開幕から完璧にフィットしていたフェルナンジーニョと比べてしまうとどうしても見劣りしてしまうが、求められる仕事はキッチリとこなした。ヤヤとのコンビに戸惑っている感もあるが、中盤の底を支えるような仕事はポルトでも慣れ親しんでいるはず。後は、独特のパスルートが多いシティのパス回しに上手く馴染んでいくことが重要になるだろう。本調子に戻っていないフェルナンジーニョとヤヤ・トゥーレの代わりに序盤からフル回転が求められる。

・Key Player

エディン・ジェコ

W杯の鬱憤を晴らすように、開幕戦はスーパーテクニックでのアシストを披露。前線での存在感を放つ巨漢ストライカーには、今季大きな期待がかかる。なんだかふわふわしているように見えることもあるのだが、徐々にプレーの幅を広げているところは評価したい。サイドに流れながらのプレーなど、ペナルティボックスを「横」に使えるようになり始めたことは大きなプラス。プレミアNo1ストライカーの称号を名実共に自らのものにするような活躍をこなしてくれれば、シティの戴冠も確実なものになりそうだ。

パブロ・サバレタ

最早プレミア最高の右サイドバックとなっているアルゼンチン代表選手は、シルバの右腕として崩しに関わる。2節目はダイアゴナルな走り込みでリバプールの守備を切り崩し、圧倒的な多彩さを見せつけた。通常のサイドバックと比べると、フリーランのパターン数が圧倒的。内側に走って良し、外側に走って良し、という近代的なタイプである。

・Potential Player

ヤヤ・トゥーレ

相変わらず止まったボールを蹴らせたら一級品だが、まだプレミアのチームを震えさせたダイナミックさが戻ってこない。誕生日事件で世間を騒がせたように、メンタルはそこまで強くない。そのせいか、特に守備面でムラがあることが大きな弱点ではある。とはいえ、攻撃性能だけで御釣りが来るレベルなので、重要なのは起用の仕方になってくるはず。

ステバン・ヨベティッチ

プレシーズンは好調を保っていたようだが、開幕戦を見てみたら何時ものプレーに戻ってしまっていた。上手くいっている時は良いのだが、嵌らなくなった途端に無理な状態でもシュートを狙い続ける悪癖が治っておらず、ジェコやシルバのサポート役としては求められるレベルには達していない。十分なテクニックがあるだけに、上手くいかない時にはサポートに徹する意識を持ってほしいところだが。一転して第2節では、得点を決めて一気に絶好調のプレーを連発。プレーの落差を小さくすれば、今季こそキーマンになれる可能性がありそう。

フランク・ランパード

ローンで電撃加入したチェルシーのレジェンドには、ピッチ外での影響力も期待されているはずだ。真面目に練習に打ち込む姿勢やそのリーダーシップが、シティの選手達にとっていい刺激になれば。勿論、選手としても勝負所の集中力を生かせる場面での投入が予想される。

・Deadline Deal

無し。ネグレドの売却で薄くなったFWの層をどのようにやりくりしていくかには注目。


筆者名:結城 康平

プロフィール:「フットボールの試合を色んな角度から切り取って、様々な形にして組み合わせながら1つの作品にしていくことを目指す。形にこだわらず、わかりやすく、最後まで読んでもらえるような、見てない試合を是非再放送で見たいって思っていただけるような文章が書けるように日々研鑽中」
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