開幕から3試合、勿論観戦数にはチームごとに差はありますが、全チームを1度は観戦することが出来ました。ということで、今回は試合を観戦したことを踏まえて、プレミアリーグの分析と展望をしていきたいと思います。チーム1つ1つについて、出来る限り詳細な分析を心掛けてみました。今回はPart4になります。(※Part3は こちら

今回は “Positive Aspect”で良かった面、“Negative Aspect”で不安視される面を分析、今後のプレミアリーグへの展望に繋げています。また、各チームから新加入でデビューを果たした“New Player”、既存の中心選手として期待される“Key Player”、そして+に転べば大きい"Potential Player"を選び、それぞれコメントしていきたいと思います。

更に、移籍期間最終日の移籍についても評価。 “Deadline Deal”というのが、最終日の注目加入選手となっております。

開幕前にQolyでは プレミアリーグ座談会も行わせていただきましたが、その座談会の中での評価と変わってきているチームもあるため、是非一緒にお楽しみください!

サウサンプトン(昨季8位)【開幕戦、第2節観戦】

【最低限の戦力維持と、積極補強に成功。ポイントになるのはバランス】

・Positive Aspect

相変わらずシュナイデルランとワニヤマが組む中盤センターは、プレミアトップチームにも劣らないほどに強力。蟻一匹通さないほどの中盤守備によって、強豪リバプールを苦しめた。更に、攻撃的MFとして若きワード・プロウスが飛躍の準備を終えている。チームの組織的基盤は思ったほど失われておらず、そこに開幕戦で好パフォーマンスを見せた新加入のタディッチが加わってくれば、今年も十分に闘えるはず。補強に関しても非常に上手くやっており、特に移籍最終日にアルデルヴァイレルトとサディオ・マネを獲得したのは見事。

・Negative Aspect

前線の柱として期待されているペッレが、フィットに不安を感じさせているのは大きなマイナス。とはいえ、だからこそシェーン・ロングに大金を払ったのだと思われるが。ペッレが思った通りに行かない時に、引っ張ってしまうとチームの攻撃全体に悪影響がある可能性も。また、ロヴレンの抜けたDFラインは思ったよりも脆弱で、混乱したようにポジションが崩れることも多かった。シュナイデルランとワニヤマがボールを奪いに出た際も、怖がるようにラインを上げられない場面も。中盤に呼応するようにキッチリと守備組織を整え、新守護神フレイザー・フォスターの能力を生かしていきたいところ。また、クーマンが攻撃的なシステムを好んでいることから、バランスを無視してアタッカーを使い始めると危険な展開も有り得る。第2節で見せた、シェーン・ロングの「守備時は右サイド、攻撃時ストライカー」という起用には色々と無理があった印象。交代要員としての起用とはいえ、非常にバランスが悪くなってしまっていた。

・New Player

ドゥシャン・タディッチ

深い切り返しなどの、相手の気を逸らすようなプレーで存在感を発揮したセルビア代表のアタッカー。非常に面白い雰囲気を持った選手であり、ドリブルと見せかけたパスなどで相手のタイミングを外すのが上手い。オランダリーグの東欧選手ということで、とにかく持っているものをしっかりと伸ばしてプレミアに乗り込んだ印象。直線的なプレミアのサイドバックに対しては、相性は悪くなさそう。カウンター中心になることが予想される新生セインツの切り込み隊長になれるか。

・Key Player

スティーヴン・デイヴィス

非常に地味ではあるが、その的確なポジショニングでアタッカーながらボランチをサポートしていた北アイルランド代表MF。彼がサイドからしっかり絞って内側をサポートすることで、中央のシュナイデルランが思い切って前に出ることが出来るため、必殺のボール狩りが炸裂する。彼とワニヤマ、シュナイデルランは3人で1セットの守備組織と考えていいかもしれない。もし彼を外すとなると、セインツの組織は大きく崩れる可能性も。

・Potential Player

吉田麻也

セインツの守備力向上には、彼の成長が最も重要だ。守備でのポジショニングは悪くないだけに、中盤との連携により気を配ることでセインツ最大の武器であるMFの位置でボールを奪うことを助けたい。縦に当てるボールは相変わらず鋭く、組み立てではある程度期待出来るはず。後は、プレッシャーがかかった状態でのボール扱いを磨くことと、プレーのムラを減らすことか。

グラツィアーノ・ペッレ

ワンツーを狙う場面があったように、組織で生きるタイプとの評価が高いイタリア人ストライカー。ボールを一度触って起点になり、そこからエリア内に入って行くようなプレーを好んでいるようだ。オランダリーグで成功したイタリアFWというプロフィールだけで特殊なプレイヤーであろうことは予想出来るので、合わせるのか合わせてもらうのか。クーマン新監督としては、手土産の爆発に大きな期待をかけるはず。

・Deadline Deal

トビー・アルデルヴァイレルト

アトレティコからローンで加入したCBには、多くの問題を抱えるDFラインを支えるという重要な任務が。ベルギー紙によればレギュラーは確約されているとのこと。ハイラインではプレーすることに慣れているはずだし、組み立てでも問題なくセインツのサッカーには対応出来そう。彼が力を発揮できないと、セインツの失点は増えてくるかも。