――その高校2年時に2種登録でトップチームへ帯同中、その年(2020年)のJ1得点王となり、MVPにも輝くケニア代表FWマイケル・オルンガ選手(現アル・ドゥハイル/カタール)ともトレーニングをしていたのでは?
「オルンガ選手とは僕が高校1年や2年の時に練習でマッチアップして衝撃を受けました。メチャクチャ吹っ飛ばされて、やられ続けたのを強烈に覚えています」
――では、今までマッチアップした選手で最も脅威を感じたのはオルンガ選手?
「オルンガ選手も強烈だったのですが、試合で対戦した中で自分にとって一番嫌だったのは、浦和レッズのFW興梠慎三選手ですね。
去年の3月に対戦したのですが、興梠選手はずっとオフサイドラインにいるんです。DFとしてはラインを下げちゃいけないと思っていたら、パスが出てきそうなタイミングでCBの間に落ちて来たり、ボールを叩いたらまたオフサイドラインに戻る動きをされるので、なかなか掴めませんでした。身体の使い方やパスを受ける際の顔を出すタイミングも上手いので、実際に先制点となるゴールも決められてしまいました」
――現在の長崎もそうですが、現代サッカーのCBはビルドアップの局面で攻撃の起点になることを求められます。常に狙われているのも実感されているとのことですが、相手のプレスが来ることに怖さは感じないのですか?
「自分にプレスが来ると誰かしらのマークやスペースが空くので、むしろ、来てもらった方がボールを運べますし、フリーマンができるという感覚でやっているので、怖さは全く感じないですね」
――ドリブルでボールを運べるし、自ら逆サイドにサイドチェンジもしますよね?ボールを動かす範囲がかなり広いのですが、どうやって視野の確保をしているのですか?
「まずボールを受ける前に逆サイドのウイングまで見ておいて、ボールを持ってからはFWとサイドハーフの選手を見るようにしています。逆サイドまで見えていると自然と間接視野で中盤の選手や相手も見えるようになってくるので、その感覚で空いた選手にパスを出すようにしています」
――ところで、子供たちの中には嫌々DFをしている子もいると思います。そういう子にはどういう部分に楽しみを見出して欲しいですか?
「自分が得意なビルドアップの場面だと、自分が左サイドバック(SB)にパスを出そうとしている時に相手も左SBに寄せて走っているところを、フェイントで1トップの選手の足元にスパンと縦パスを通せた時が気持ち良いですね。相手の矢印を折れた時に楽しさを感じます」
――とはいえDFなので、まず守備が求められます。自らボールを奪いに行ってもなかなか奪えないとなった時、子供たちはどのように考えていけば良いですか?
「守備にはボールを奪うだけでなく、味方が戻るための時間を稼ぐことや、シュートやパスのコースを切るなど優先順位があります。自分で考えるのも大切ですし、周りの味方と話し合ったり、連携していくことが大切だと思います。それがサッカーという競技本来の楽しさを味わうのに役立つのではないでしょうか?」
おそらく、これは“組織”も“個人”も重要とされるサッカーという競技を離れても、一般社会で必要とされるスキルだろう。