長崎加入の理由は「シモさんのサッカー」
田中は昨年5月~6月にアルゼンチンで開催されたU-20W杯において、U-20日本代表の守備の要として全3試合にフル出場。世代別日本代表の常連でもあり、将来を嘱望される20歳のCBはなぜ、長崎への加入を決断したのだろうか?
「長崎を選んだのは、下平監督が就任されることを知ったからです。自分がレイソルのアカデミーに入った頃、トップチームの監督をされていたのがシモさんでした。その時のサッカーをずっと見ていたので、シモさんのCBからボールを大事に繋いでいくスタイルが、『自分の理想やプレースタイル的に最も合う』、というところを決め手に長崎への加入を決断しました」
今季から長崎を率いる下平隆宏監督(写真提供:V・ファーレン長崎)
――J1からJ2へカテゴリーを落とすという選択に抵抗は感じませんでしたか?
「昨年までの自分はレイソルで試合に絡めず、自分とプレースタイルも似ていてアカデミーの先輩でもあるDF古賀太陽選手の前で、『壁は高いな』と感じていました。
自分はもともとJ2の試合もよく観ていたので、カテゴリーを下げることに関しての抵抗はありませんでした。J1との差は観ていてもそれほど感じませんでしたし、実際にプレーしていても強度などは大差がないと感じています。
日々のトレーニングを考えても、常にフアンマ選手やエジガル・ジュニオ選手のようなJ1での実績があるFWとマッチアップできる環境があることも大きかったですね」
――現在、ルヴァンカップも含めて公式戦全7試合(その後、9試合)にフルタイム出場を続けています。試合に出続ける中で掴んでいる収穫はありますか?
「今までビルドアップの部分を自分の強みとして来たのですが、逆に自分に足りないものとして守備の強度や連動性、相手の攻撃を跳ね返すパワーというところを課題として挙げていて、長崎に来ました。まだまだレベルを上げていかないといけないとは思っているのですが、少しずつ跳ね返すところなどの守備の部分で成長できている実感があります」
今後の焦点:パリ五輪出場、海外移籍
――今後の目標についてお伺いします。まず、U-20W杯では初戦のセネガル戦で1-0と勝利しながらも、その後はコロンビアとイスラエルを相手に1-2と2試合連続の逆転負けを喫してグループステージ敗退。振り返ってみると、どんな大会でしたか?
「U-20W杯には勿体なかったという想いが今もあります。特に3戦目のイスラエル戦は1点リードして相手が退場者を出し、数的有利だったのに逆転負けしてしまって…。
自分たちから試合を壊してしまったと言うか、もっとシンプルにプレーしていたら、もっとチーム全体でコミュニケーションを密にとっていたらと、今思い返しても考えてしまいます。かなり通用している部分があったからこそ、余計に悔しく感じた大会です」