「一対一の成績」を数値化

ここで本題に入り、具体的な話に移るとしよう。

冒頭で定義した三要素を元に、ボランチ陣の「一対一の成績」の数値化を考えたが、相応しいデータが見当たらなかったため自身で計測した。

なお、DF陣ではなくボランチ陣に焦点を当てた理由は、現在の日本代表において最も守備機会が訪れるポジションであり、比較対象にしやすいためである。

あくまでも以下のデータは個人で集計したものであるため、その精度についてはご容赦頂きたいが、結果は以下の通りだ。

初戦のコスタリカ戦は遠藤航と青山敏弘がボランチを形成したが、遠藤は8回のボール奪取にチャレンジして4回成功、そのうちファウル判定となったものは2回。青山は12回行い2回成功、ファウルは1回。(PA内除く)空中戦では、遠藤が5回全て勝利し、青山は2回のうち1回の勝利となった。

続くパナマ戦では三竿健斗と青山敏弘のコンビに変わり、三竿は18回のチャレンジで8回の成功。そして、ファウル判定となったのは4回。2戦連続での先発となった青山は7回の仕掛けで1回成功し、ファウルは2回。空中戦は、三竿が1回しか訪れなかったが成功なし、青山は5戦1勝という結果に。

最後のウルグアイ戦は柴崎岳が森保体制で初先発を飾り遠藤航とのユニットに。柴崎は12回の機会で4回勝利し、ファウルとなったのが4回。遠藤は4回のうち2回勝利、ファウルは1回。空中戦では柴崎が3戦3勝で、遠藤は2戦1勝という結果であった。

いずれも対戦相手や試合展開が異なるため単純比較はできないが、三竿はボール奪取に挑む頻度の多さ、遠藤は空中戦やボール奪取の成功数(勝率も2試合共に50%)で際立ち、柴崎についても空陸共に予想を上回る一対一における成績を残したことは間違いない。

だが、その一方で気になったのが、キャプテンマークも巻いた青山である。

コスタリカ戦では一対一が12回訪れたが勝利数はわずかに2回で、パナマ戦でも7回中1回という成績で終わり、その勝率は10%台。

パスワークによる効果的なチャンスメイク、周囲へのコーチングやカバーリングなど、ポジティブな面を披露していたことも事実であるが、今回のテーマに関して言えば、マイナス材料ばかりが目立った。

そして、彼については、後半途中から出場したウルグアイ戦において、その対応ミスにより失点のきっかけを作ってしまったことも触れざるを得ない。