Youはどうしてマリノスへ?
ユース代表での輝かしい実績を誇るアデミウソン。サンパウロでは2012年2月の州選手権でデビューを果たすと、2012年7月の全国選手権・フィゲイレンセ戦でプロ初ゴールを記録した。この時期には今年、アルビレックス新潟に加入することが決まったコルテースともプレーしている。
それから3年――。アデミウソンはサンパウロで期待に沿うだけの結果を残せなかったのである。彼はこれまで公式戦で23ゴール(代表で8点、クラブで15点)を決めている。21歳の年齢からすればまずまずであるが、全国選手権での得点は2012年から3,2,1と少なく、また減少してきている。
どうしてだろうか?ここからは推測も含むが、トップチームでのアデミウソンは上背がないことやライバルも多いこともあり、中央のFWではなくサイドなどでも起用された。そのなかでも器用で粗の少ない彼はそれなりの働きを見せたが、彼の本質は生粋の点取り屋ではないだろうか。サイド起用されることで本来の才能を伸ばせぬまま、現在を迎えてしまったのではないかと思う。
加えて2015年のサンパウロはパト、ルイス・ファビアーノ、アラン・カルデッキという国内屈指にしてA代表経験のある強力なライバルがズラリ揃い、出場機会を得るのは難しい状況にあった。そこで国内のスポルチへ貸し出される話が出ていたところに、シティのツテもあり、出場機会の見込めるマリノスへ移籍することとなったのである。
筆者の知り合いのブラジル人ジャーナリストによると、一部サンパウロのサポーターは今回の放出を喜んでいるという。それがアデミウソンがこれから出番を得られることへの喜びか、“不良債権"を処理できたことへの安堵なのかは分からない。どちらにせよ、とめどなく若手が現れるブラジルの目は非常に厳しく、年代別の9番(10番)といえブラジルで数年実績を残せぬまま期待を持たれ続けるのは難しいのだ。