アデミウソンってどんな選手?

まずはプレースタイルを確認しておこう。メディアでは“セレソンの10番"として大々的に報道されているが、実際にはU-17,20で9番を付けたように、また、“ロマーリオの再来"と一部で言われたように、得点感覚に優れた天性のストライカーである。特にトラップからシュートまでの動きが非常にスムーズで、振りが小さく強烈なシュートを両足から放つことができる。

彼は176cmと上背も体の厚みもなく、身体能力が怪物的でもなければ特別テクニックに傑出しているわけではない。ただ実用的なテクニックを持ち、駆け引きや体とスペースの使い方など“サッカーIQ"に優れている。また味方も使え、サイドやトップ下で起用されることもある万能型ストライカーと言える。

前線の選手としては上背がなく、テクニックを武器にするわけではないものの、動き出しや強烈なフィニッシュに優れるという点では、U-17W杯で対戦した同い年の南野拓実に近いかもしれない。ユース代表のエースでトップチームではサイドなどで起用され、やや苦戦を強いられているところも似ている。

そういえば南野もU-17時代にはその足腰の強さと決定力の高さから、セルヒオ・アグエロに例えられた。そのアグエロは若かりし頃に「ロマーリオに似ている」と言われていたのをご存知だろうか。このたびのマリノス移籍はマンチェスター・シティの手引きによるものだが、アグエロを抱えるシティが“ロマーリオの再来"とも評されたアデミウソンを欲しがるのもこうして考えると自然なことなのかもしれない。

しかしシティの力とはいえ、エリートコースを歩んできたアデミウソンがなぜ、成長途上のこの時期に日本に来ることになったのだろうか。そこには当然、ただ褒めているばかりではいられない事情があった。

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