アデミウソンはJを席巻するのか
ここまでプラス面とマイナス面を述べてきたが、ではアデミウソンは2015シーズンのJリーグを席巻するのだろうか?あるいは失敗してしまうのだろうか?
筆者は“ロマーリオの再来"、“王国の10番"という評価は誇張表現であるものの、かなり期待して良いのではないかと思っている。その理由は以下の通りである。
1.プレースタイルがJリーグに向いている
器用な面がむしろ災いし伸び悩んでいるアデミウソン。しかし、それはあくまで国内での話で、王国ブラジルで器用貧乏とされる能力が日本で全て平均以上に他の選手より上、となる可能性は大いにある。また、Jのプレーテンポの早さも彼には好都合で、唯一、弱点とも言える上背や体格もさほど求められない(Jのなかだとマリノスは求められるほうだが)。総合能力が求められがちのJリーグに彼は間違いなく向いているのである。
2.モチベーションが高い
トップチームでの実績がなく、ここで失敗すればステップアップが難しくなるだけに、結果に飢えている点である。活躍次第ではシティはもちろん、欧州への道も開かれるだけに手を抜くことは考え難い。また、来年自国で開催される五輪へ出場したい気持ちも強いだろう。あらゆる面でモチベーションが高くなる要素が揃っている。
3.若い
20年の間に数々のスターや代表選手がやって来たJリーグだが、残念ながら峠を過ぎた選手がほとんどであった。名門の出身にしてアンダー代表のエースだったタレントが、この若さで日本に来たことがかつてあっただろうか。活躍すればおそらくすぐに買い取られるだけに悩ましいところだが、まだ21歳と若く吸収力の高い彼が環境の変化により突如大化けする可能性は十二分にあるだろう。
6日の報道によるとアデミウソンは未だ来日をしておらず、残念ながら今週の開幕には間に合わないようである。しかし、主役は遅れてやってくるという。アモローゾ、フッキに続く“Jリーグ経由、欧州・セレソン入り"の選手になるのは彼かもしれない。