マネージメント能力に優れるペケルマン監督のコロンビアは、従来のパスワークを重視しつつも無駄を省いて効率化を図り、どんな状況下でも安定して力を発揮できるチームになった。曲者揃いとしてワールドカップの常連となった1990年代に比べ特別個性的な選手はいないが、非常に纏まりがあり、試合運びの上手い“今風“のチームと言えるだろう。
しかしながら今年に入って以降の強化試合では低調な出来に終始した。
その要因の1つがファルカオだ。既にご存知の通り1月に全治半年の重傷を負った彼は、懸命なリハビリにより驚異的な回復を見せたものの、結局間に合わず先日、大会を欠場することが決まった。今のコロンビアはファルカオから逆算されたチームで、戦術の軸を失ったペケルマンは強化試合で複数の選手を試したがフィットするまでには至っていない。
ちなみにファルカオの怪我に関わらず日本では怪物的な身体能力を持つジャクソン・マルティネス脅威論が囁かれてきたが、予選ではファルカオが絶対エースとして君臨していたために満足な出番を得られず無得点。ファルカオ負傷後も直前の強化試合で起用されなかった。意図的なのか不気味ではあるが、チームとしてのバランスや構成力を重視するペケルマンの好みのタイプではないのかもしれない。
もう1つが守備だ。代表チームはこの10年、得点力不足に悩まされる一方でオスカル・コルドバら優秀なGKとイバン・コルドバ、ジェペスらが中心となり堅い守備を保ってきた。今予選でも予選最少失点を記録したが、強化試合では高齢化によるスピード不足を露呈。35歳のペレアは怪我により23人のメンバーから漏れたが、38歳のジェペスが未だに守備の中心。コンビを組むことが予想されるバルデスは国際経験が足りず、ミランで本田と同僚のサパタは今シーズン、ほとんど出番を得られなかった。
更にストロングポイントであるはずの両サイドバックも、右のスニガは怪我により今シーズンほとんどを棒に振り、左のアルメロもポジションを失いイングランドへ移籍。そこでも満足に出場機会を得られなかった。こうして4枚全員が不安を抱えており、まだ若く、運動能力が抜群でポジションの融通も利くエステファン・メディーナの負傷による離脱が地味ながら響く可能性がある。