守備の差

2分53秒からの先制ゴールのシーン。これはマタのアシストではなく、守備に着目していただきたい。ボールホルダーに詰めることで難しいクリアをさせ、それによって攻撃に移るチャンスが再び訪れた。まるで運良くボールが転がり込んだようにも見えるが、このプレスが無ければこの場面にはなっていなかった可能性も高い。

プレミアの経験から来る要因の2つ目が、この前から相手に積極的に飛び込む守備の部分だ。興味深いことにチェルシーではジョゼ・モウリーニョに「守備面の弱さ」を指摘されてスタメンから外されていたが、どちらかというとそれは下がった状態での守備を得意とするチェルシーだからこそ顕著となってしまってしまうリトリート時のポジショニング的な部分なのだろう。実際ストーク・シティ戦で、マタはチーム最多となる5つのタックルを成功させている。

香川はドルトムント時代にユルゲン・クロップに鍛えられただけあって前からの守備のポジション取りは悪くない。ただし、逆に相手にぶつかっていくような対人守備はどうしても体格的な問題もあって苦手としている。動画でいえば20秒過ぎや2分40秒からのプレーで、相手に前を向かせることだけは避けなければならなかったはずだ。体格に劣っているとしても、相手に前を向かせないようにプレッシャーをかけるような守備をかけていく方法を考えていくことが求められる。

プレミアでファンに愛される選手は守備でも果敢に挑みかかるような選手だ。テベス、ルーニー、ロナウドといった面々が在籍したマンチェスター・ユナイテッドでは特にそういった傾向が強い。若きヤヌザイが一気にファンの心を掴んだのは、華麗なテクニックだけでなく細い身体でも積極的に競り合いを挑むように守備に参加する「泥臭い」部分でもある。勿論香川は既にファンからも人気のある選手だが、更なる後押しを得るためにはそういった姿勢を見せることも必要となりそうだ。