高校年代のときから周囲の期待を集めてきた椿だが、未だにA代表選出の経験はない。

一方でU-17W杯をともに戦ったMF中村敬斗やMF久保建英、DF菅原由勢(ゆきなり)らが海外へ飛び出し、日の丸を背負って闘っている。

また直近のFIFAワールドカップ2026アジア最終予選(3次予選)に臨む日本代表メンバー発表(2025年5月23日)では、J1クラブで活躍する4選手が初召集され、全員が椿よりも年下だった。

同世代の戦友たちが国の代表として世界で闘い、若い世代も台頭してきている。今年25歳を迎えるドリブラーが巻き返しを誓った。

まだ日本代表を狙えると思えた理由

――メルボルンでの経験を踏まえて、海外への気持ちはまだありますか。

「海外に対する気持ちは変わっていません。いまでもめちゃくちゃ海外志向ですし、フランスとかすごくいいですよね。プレミアは自分に合っていないと思うので、ラ・リーガにも行ってみたいです」

――海外移籍はすぐにでもしたいですか。

「海外に行きたい気持ちはありますが、昔は日本でやるんじゃなくて、どこの国でもいいと思っていた。そこからステップアップできれば、それが一番の近道だろうと思っていたんです。

だけど、オーストラリアに行ってからは、J1で結果を残してから海外に行きたいという気持ちになりました。自分がJ1でやれないと、海外に行ってもまったく通用しないと感じたんです。周りから『あいつなら海外に行くよね』と思われる選手にならなくちゃいけない。だからまずはJ1で試合に出たいという考えに変わりました」

――U-17日本代表で一緒にプレーした久保建英選手や中村敬斗選手はA代表に選出され、海外でプレーしています。交流はありますか。

「(あの世代は)みんな海外に行っていますよね。たまに連絡しますけど、別に連絡をしなくても活躍や成長が分かります」

U-17日本代表時代の椿(中央左、写真:Getty Images logo)

――悔しさはありますか。

「刺激になっています。身近にいた選手が日本代表などで活躍していると、『自分も代表に行きたい』という気持ちが強くなります」

――いまでも日本代表は目指していますか。

「いろいろなチームにレンタルされていく中で、代表がちょっとずつ遠くなっていく実感があった。マリノスに入って『やってやろう』というときの自分とは違って、『ああ、もう俺は代表や海外のレベルじゃないのかな』と考えてしまうときもあったんです。

でも千葉に入ってから、『まだ(代表を)狙えるんじゃないか』と思い始めることができました」

久保建英(左)と中村敬斗(写真:Getty Images logo)

――ライバルは強力だと思います。

「建英や敬斗より劣っていると思いませんし、自分の武器が通用しないと思ったこともありません。ただメンタルや技術の部分などで、絶対にまだ敵わないんだろうなという自覚はある。

そこはレベルアップしないといけませんが、もしもいまの自分が代表にポンっと入ったとしても、特徴を出せると思っています。その気持ちは常にブラさずにやっていきたいですし、そこを失ったら負けですよね」

トレーニング中の千葉イレブン(写真:浅野凜太郎)

――千葉は日本代表を目指す選手や元日本代表の選手もたくさんいます。

「今回の代表選出を見て、J1に行けば、自分たちにもそういうチャンスが絶対に来ると思えました。だからJ1に行きたい気持ちは、そのとき(代表メンバー発表のとき)にとても強くなった。

自分の努力次第ですが、カテゴリーが上がれば絶対に代表へ行ける自信がいまはあるんです。だからこそ、本当に今年こそJ1に上がりたいです」

――来年にはFIFAワールドカップも控えています。

「次のワールドカップは無理だとしても、その次ですよね。自分が30歳手前くらいなので、狙いたいです」