警戒される両翼、潰し屋の選手層、大黒柱の二人を脅かす存在
J2第16節終了時点でリーグ最多の29得点を奪っている千葉は攻撃をけん引する両翼が強力だが、『そこが封じられると…』といったジレンマがある。千葉の攻撃はサイドアタックが中心となっており、全29得点中18得点がサイドを起点にして生まれた(筆者調べ)。
しかし昨季に比べて、両ウィングに対する相手チームの警戒は増しており、椿と田中の両翼がシンプルな裏抜けからチャンスを演出するシーンは対策が進められている。実際に相手が守備時に5バックで守りを固めるロアッソ熊本やFC今治相手には攻め手を欠き、苦しめられた。
長いシーズンを戦い抜く上で、彼らを脅かす選手の登場と別の攻撃パターンの構築は必須だろう。
右サイドには、田中とはタイプの違うカットインからの左足を武器とするMF杉山直宏がここまでリーグ戦1得点を含む活躍を披露しているが、同ポジションの大卒ルーキーMF岩井琢朗、左サイドのMF吉田源太郎はいまだにゴールを奪えていない。
またボランチの潰し屋も、豊富な運動量とデュエルの強さが持ち味のMFエドゥアルド頼みとなっている側面がある。国立・大宮戦でエドゥアルドは前半20分に負傷し、ドリブル突破とパスからチャンスメイクをする横山が代わって投入された。
この試合は背番号10がうまく試合に入り、存在感を発揮したが、同選手と背番号6ではプレーヤ―としてのタイプが違う。
昨季はスタメンの常連だったMF小林祐介は開幕戦以来未出場となっており、エドゥアルド負傷時に潰し屋として機能する選手層の薄さは、リーグが佳境を迎える前に補強したいポイントだ。
そして鈴木大と鳥海のセンターバックコンビ以外の選択肢を持っておくという点についても挙げておきたい。
いまだに今季リーグ戦で先発出場の機会がない河野は「あの二人に任せっきりになっている感じもある。あの二人を追いつき、追い越さないと、自分としてもチームとしても成長はないと思っています」と危機感を口にした。
実際に、ここまでのリーグ戦16試合中14試合で背番号13と背番号24のセンターバックコンビがそろって先発している。
千葉のディフェンスを後方から支える二人の大黒柱の活躍は喜ばしいが、昨夏に鈴木大が負傷した事例などを踏まえれば、そこへ割って入る控え選手たちの台頭が必要だと思える。