デマにより捏造されたレッテル「いつかは『悪童』と呼ばれない日が来る…」
2018年1月にKリーグ1の慶南FC(現在Kリーグ2)に入団してから現在まで、海外の複数クラブでプレーしているレフティは、『悪童』という世間の印象による弊害なのか、長い海外生活の中で数々の誤報に翻ろうされてきた。
そもそも同選手が『悪童』と呼ばれるようになった原因は、浦和ユースと福岡を不祥事や規約違反により退団した過去にさかのぼる。
しかし邦本によると、Jリーグ時代の退団経緯に関する報道や噂にも、一部誤解があるという。
ーーJリーグ時代の報道や噂について、釈明したいことはありますか。
「浦和レッズのときも、別に問題を起こしてやめたわけではなくて、自分の気持ちが弱い部分がありました。そのときに『もう(サッカーを)やめたい』という気持ちがあったんです。それをクラブのほうに話しました。止められたんですけど、一度、福岡の実家に戻って、ちょっと考えて『1週間だけ(クラブに)戻って、もしやりたかったら残ろう』と思ったんです。だけど、結局そのときは気持ちが落ちていて、本当にやめたいという気持ちは変わらなかった。
16歳のときに自分からクラブ側に『すみません。やめます』と言って、お互いに同意してやめたので、何かいざこざがあってやめたわけではない。それでもネットでは『未成年の喫煙』とか、そう書かれています。
アビスパ(退団)に関しても、お互い同意のもとで契約解除になっています。憶測でいろいろな記事が出たじゃないですか。また喧嘩したとか、飲酒したとか、いろいろ出ていたんですけど、まったくそういうことはなくて。たしかに僕にも悪い部分はいっぱいあったと思うんですけど、それも同意のもと契約解除になっているので。
そう考えると全部が間違っているんです。でも、書くことは別に自由じゃないですか。気持ち的に落ちるときもありましたが、そこまで反論するとか、弁明したいとか、そういう気持ちはなかったので、いままでずっと言わなかったんです」
ーーサッカーをやめようと思った理由は。
「あまり有名になりたくなかったんです(苦笑)。ただ楽しくサッカーがしたかっただけなので。
(浦和で)天皇杯に出る機会を得て、そのときにたまたま1点取ってしまったんです。それで『プロに絶対上がる』とか、いろいろな声がありました。それがプレッシャーになったわけではなくて、高校3年間、同い年の人たちと切磋琢磨して楽しみながら卒業したかったんです。だけど、高校(浦和レッズユース)の練習にもあまり参加できなくて。ユースチームでは、よくプロの練習に参加していて、ぜんぜんサッカーが楽しくないなと思ってしまいました」
ーー同級生とサッカーをしたかったのですね。当時、仲が良かった同級生はどなたでしょうか。
「いま横浜FC(J1)にいる新井瑞希(みずき、MF)とは仲が良かったですね。あとは、いま海外でやっている二つ下の橋岡大樹(日本代表DF、イングランド2部ルートン)も一緒にやっていました。その辺の人たちと一緒に(サッカーを)やりたかったんですけど、できない状況になったので、もう『ぜんぜん楽しくできないならやらないほうがいいな』と思って、サッカーから離れていきました」
ーー世間が邦本選手に対して抱いている『悪童』という印象を、今後どのようにして払拭していきたいと考えていますか。
「悪童と呼ばれてもぜんぜんいいです。ただ印象を変えていくためには難しいですが、プレーで活躍しても、『悪童』(というレッテル)が消えることははないと思う。でもいま、中国にいて(日本で僕の)試合を観られる機会は少ないと思いますが、観られていない時間も、自分がしっかりとした立ち振る舞いをしていれば、いつかは『悪童』と呼ばれない日が来ると思っています」
これまで数々の誤報やデマに悩まされてきた邦本。最後に『報道』に対する同選手の想いを聞いた。