――可変型のパターンは他にもありますか?
ありますね。以下のパターンがそうです。実は「ハメス・システム」と勝手に名付けた所以もここにあります。
ハメスは自由に動き回るタイプで、「5レーン理論」で言うところの「ハーフスペース」から「サイド」の位置にポジションを取ることが多いです。(下図参照。「5レーン理論」はピッチを縦に5分割する考え)
この時のハメスの狙いとしては「中央よりもプレッシングが緩く、比較的ボールを受け取りやすいところに構える」という感じでしょうか。
そして、その場合は左サイドで起用された選手がポジションを中央に移して、3ボランチ気味になることがあります。
直近の強化試合であるエジプトとの一戦では、特にこのような形が多く見られました。
そして、ここでもきっちりと「トライアングル」を作っていて、ハメスが中央でボールを持つと、その後ろをファブラが駆け上がる。さらに、ウリベもハメスに近い位置でボールを受け取りにいくという連動が見られました。
――左サイドと言うと、本来は南米予選で活躍したエドウィン・カルドナの定位置で、彼が落選した際には「サプライズ」とも言われたところですね。
彼の左サイドからのカットインやキック精度の高さを活かしたシュートはコロンビアの武器でしたが、今回の落選については、個人的には「サプライズ」には感じなかったです。
昨年に行われた韓国代表との試合で人種差別的なジェスチャーを行って制裁(親善試合5試合出場停止)を受けるだけでなく、今年に入ってからもアルゼンチンで婦女暴行疑惑がありましたからね。
チームの不安材料とあったことは間違いないですし、「ペケルマンは外すかもしれない」と予想していました。彼はこのような選手を嫌いそうですし。
――しかし、それでもこの選考がチーム力の低下に繋がるという意見もあるようですが。
その考えもあるみたいですが、それは現状のコロンビアを冷静に分析すれば「少々的外れ」な意見だと思いますね。
まず、ワールドカップに向けての強化試合に出られず、大事な準備期間に参加できない選手を連れていくこと自体が賢明ではないでしょう。
また彼の不在期間で、左サイドにルイス・ムリエル、ホセ・イスキエルド、マテウス・ウリベを使いましたが、軒並み良いパフォーマンスを見せた。選手自身もある程度の手応えは感じたと思います。
というような状況でカルドナを呼ぶとなれば、正直、リスクのほうが大きいでしょう。
「このままで悪くないのに結局カルドナかよ…」と選手が感じてしまう可能性もあり、チーム内に嫌な空気が流れる心配はありますからね。
怪我で昨季ほとんどプレーできていなかったマヌエル・ノイアーがドイツ代表に復帰した途端に序列が変わり、それまで正GKの座にいたマルク・テア=シュテーゲンが不満を漏らしたという話にも近いかもしれません。まぁ、ドイツの場合は、ノイアーはキャプテンであり、これまでの実績もあるので、カルドナの例とは少々スケールが違いますかもしれませんが…。