――少し話を戻しましょう。コロンビアの攻撃パターンを簡単に教えて欲しいです。
誰でもわかるような簡単な表現で言ってしまうと、可能性を感じさせる攻撃のほとんどが「ハメス経由」です。
彼とファルカオの縦関係の崩しだったり、自らバイタルエリアやペナルティエリア内に侵入してのシュートだったり、左サイドからシンプルにクロスを入れたり、右サイドへのサイドチェンジで大きく展開したりですね。
ハメスは「チャンスメイカー兼シャドーストライカー」としての能力が世界でもトップクラスですし、彼が攻撃の全権を握る流れは当然だとは思いますが…。
――ただ、「ハメスだけ」ではない?
そうですね。ハメスから始まらない攻撃パターンも高いレベルであるのが、コロンビアの強さの理由です。
右サイドのクアドラードは、突破力がありキックの精度やバリエーションも優れています。なので、彼が右サイドからクロスを上げて、そこにファルカオやハメスが合わせる形も当然あります。
さらに、クアドラードについては、ドリブルを警戒して「縦を切る守備」をされると、斜めの動きでペナルティエリアに侵入してのシュートもあります。ハメスほどの決定力やシュート力はないですが、得点を奪うには十分なレベルです。
また、両サイドバックの攻撃センスも高いので、ハメスやクアドラードが起点となり、そこからサイドバックが裏を取る。またはペナルティエリア内まで侵入してプルバック(マイナス気味のクロス)というパターンもあります。
クロス攻撃の場合、中に入ってくる人数自体は決して多くないため「怖さ」はそこまでないかもしれませんが、一人、二人だけでゴールを奪えてしまう選手が揃っていますし、ある程度の守備ブロックであれば破壊できるでしょう。
――ただ、左サイドバックで言うと、主力のフランク・ファブラがメンバー発表後に怪我で離脱。代わりにベテラン34歳のファリド・ディアスが追加招集されました。
ただ、その代わりに入るであろうホアン・モヒカで十分その穴は埋まると思います。単純にクロスの精度だけを考えると、モヒカのほうが安定していますし。
ファリド・ディアスはどちらかと言えば守備面で真価を発揮するタイプなので、追加招集は「保険」の意味合いが強いでしょう。コロンビアは戦術上、サイドバックの攻撃力は不可欠ですから、そうなるとディアスが先発の可能性は低いですね。
また、右サイドバックのアリアスは左サイドバックをこなせますし、その場合はボランチのレルマを右サイドバックで使って対応という考えもできます。
なので、日本側からすると少々残念ですが、この離脱が「穴」になることはないでしょう。