予算に見合わぬ『テクニカルセンター』
ザンビアサッカー連盟のフットボール・ハウスは、荒野の区画に50万ドル以下で建てられた。ヤシの木の後ろに柱と2階の窓が見える。
そこには最大で30名のフルタイムのスタッフがおり、トロフィーのコレクションが飾られている。
そして受付には2012年のアフリカネイションズカップで勝利した際の写真――ゼップ・ブラッターが写った大きな写真がある。
FIFAは、本部が建築された3年後、第2段階としてさらに40万ドルを費やしナショナル・トレーニングセンターの建設を承認した。その目的は「快適な宿泊設備があるキャンプハウス、教室、そしてミーティングルームの提供」だった。
地元のジャーナリストによれば、センターにはサッカー用のピッチとプールも含まれると思われていたという。
しかし――我々が今週このプロジェクトの施設を訪問した時には、そこには4つの建物に24部屋があり(そのいくつかのドアは鍵が壊れていた)、5つのダイニングルームとキッチンがあった。
二人の清掃員は、中国の援助で造られたナショナル・スタジアムと、物干し竿が見える芝生の上に座った。彼らは『フル代表を受け入れるのは難しい』と考えており、確かにこの施設は簡素過ぎる。
フル代表はホテルを好んでいるが、ユースの代表チームや女子チーム、訪問してきたクラブの関係者によって使われている。
シマター・シマターは話す。
『これは本当はテクニカルセンターなどではない。そんな目的で使われていないのだから。あれはただの無駄な遺産だ。FIFAはその片棒を担いだ。
我々は現場で完全なレポートを一度も受けたことがない。これは我々の黒歴史の一つだ。透明性など何もない』
この”テクニカルセンター”は、トータルで80万ドル以上と報じられた資金合計に見合った価値があるようには思えない。
プロジェクトのための主要な契約者は、地元企業のアセスコだった。FIFAは34万7826ドル、34万7743ドルを分割で支払った。
アセスコの責任者は説明する。
『我々はピッチを作った。しかしプールと言えるようなプールは建設の明細表には含まれていなかった。
ピッチについては、ユーザーの管理が怠られたために草が成長しすぎたのだ。
我々は建設業者であるので、その仕事はクライアントから与えられるデザインと一致するものを造ることだ。
我々はサッカーを管理するプロではない。だからこれが無駄な遺産であるかどうかは分からない。
施設の疑問については、国のサッカーシステムを管理している者か、あるいは関係する投資家によって答えられるものだろう。
資金の不正流用があったと感じたか? 我々はそれを知ることが出来る立場にない』