「3バック」と「原点回帰」。リバプールを導く2つのキーワード。

「3バック」と「昨シーズンの組み立て」の融合のメリットについて、もう少し掘り下げてみよう。

4バックでの組み立ては、CBの間にMFが落ちて下図のようになることが多い。SBも組み立てには加わるが、例えばリバプールではグレン・ジョンソンやアルベルト・モレノのように攻撃的なSBが多い。どちらかというと彼らは高い位置を取り、組み立ては最終ラインの3人を起点として行われる。

では、今回のリバプールの3バックは、これとどう違ったのだろう。

1つは、SBの位置に2人のCBが残っていることだ。比較的低めに彼らがポジションを取っている事で、前からのプレスに対しての駆け引きとなる「打診」をしている。

彼らが低めに残っていることでMFを合わせて4人が後ろに残っているので、アーセナル側は前からのプレスを仕掛けにくいのだ。

ジェラードに自由を与える原点回帰と3バックの融合のメリットは1つ。何よりも後ろでボールを持てるようになったことだ。アーセナル戦の支配率は62.8%。48.9%に終わったマンチェスター・ユナイテッド戦とは雲泥の差が見られる。

支配率を上げるメリットは、勿論攻撃面だけではない。守備機会を減らすことが出来ることは、守備が脆弱なチームにとっては大きなメリットの1つだ。何よりもボールを持つこと。そうしてこそ力を発揮するチームであるリバプールを導くには、このシステムこそが1つの解決策になるかもしれない。

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