和田のサッカー人生第2章

アメリカでの挑戦はピッチ内だけではない。その一つが食文化だ。

トレーニングや試合後にはピザやハンバーガー、タコスといったジャンクフードがクラブから提供されるという。

「はじめはそのせいで太ってコンディションが…。チームのみんなからも『昌士、アメリカの飯を食って太っただろ』と言われたので、それを食べずに自炊をしています。物価も高いし、俺は太りやすいからコントロールが大変ですね」と苦労を明かしたが、その表情はどこか楽しそうだ。

キックモーションに入る和田(本人提供写真)

また、6月には新たな挑戦としてYouTubeチャンネルも開設。

「英語をしゃべられるようになりたいと前々から思っていたので、アメリカと聞いたときにチャンスだと思った。サッカーと英語の両方で成長できるチャンスだ」と、『マーシーのアメリカ日記 / Marcy’s Life in the USA』で現地の情報や英語について発信している。

移籍当初はネイティブの発音に苦戦したが、いまでは自分の意見や考えを伝えられるようになった。

ハーツは2027年に開幕する昇降格制度有りのUSLリーグに向けて順調に力を蓄えている。クラブの人気も高く、毎試合ホームには6000人から7000人ほどのファンが訪れ、熱狂する。

「ハーツはマーケティングがすごくて、シーズンチケットも夏くらいから売り切れです。来年のシーズンチケットも、既に売り切れているらしくてビビるくらいです。でも他のチームはそんなこともなくて、同じUSLリーグ1でも100人くらいしか来ないところもある。たぶんこのチームがダントツでサポーターが多いんです。

上のUSLチャンピオンシップのチームとも試合をしますが、このチームのポテンシャルはすごく高いと思っています。俺はこのチームのスタッフやサポーターが大好きだし、すごく気に入っているんです」

ポートランドの街並み(本人提供写真)

アメリカでの刺激的な毎日に、和田の心は再び高鳴っている。

一時は引退も考え、サッカーへの情熱を失いかけた。それでも、和田はあのときの経験のおかげでいまがあると力強く口にした。

「1回落ちかけたけど、そこでなんとか踏ん張ってJ1やJ2、J3のどの試合でも頑張ってやってきた。理想のキャリア通りとはいかなかったけど、それも含めて自分だと思うし、俺はそのとき、そのときに思ったことをやってきたタイプ。それが『自分だよね』とも思うんです。

渓太だってドイツに行って、ケガとかで悔しい思いをして日本に帰ってきたと思うけど、いま活躍している。俺も22歳くらいからマリノスの選手じゃなくなって悔しかった分、自分を見つめ直してきた。それでも甘かったと思いますし、他の選手と比べて気が付くのが遅かったかもしれません。でも、それも一つの自分だし、いまできることをやっていくしかないと思って新しい挑戦をやっています」

得点を決めた和田(本人提供写真)

ハーツで充実の時を過ごす和田だが、もちろん満足はしていない。来年には29歳を迎える和田は、さらなる活躍と成長、そしてタイトル獲得を目指しながら、引き続きアメリカでプレーする青写真を描いている。

「アメリカ楽しいですよ」

和田のサッカー人生第2章が始まった。

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