新天地が和田のポテンシャルを引き出す
自由の国アメリカでは、屈強な選手たちと体をぶつけあい、慣れない環境に身を置く。
「技術は日本の方が絶対に高い。でも、ベースの身体能力とかは流石アメリカです。下手だけど、めちゃくちゃ足が速いとか体の強いやつもゴロゴロいる。あとはやっぱりみんなエゴがすごい。ゴール前で絶対にパスを出すだろうという場面でもシュートするし、別に怒られても気にしていない」
まさに個人主義だ。言いたいことは口に出し、やりたいようにプレーする。日本と違う現地のスタイルには戸惑いを抱いたが、その文化によって和田は新境地を開拓していく。
「みんな素直ですし、そのとき、そのときを一生懸命に生きている感じ。俺はそのスタイルがすごく好きだなと思った。上下関係とかもないし、カルチャーの部分はとても自分に合っている」
アメリカのサッカー界に根付く自由な風土が、和田の本来のポテンシャルを引き出した。
ハイプレスと速攻を武器に戦うハーツは、USLリーグ1参入初年度ながら、ここまでリーグ戦27試合で6位と躍進。
トップ下やボランチの位置で出場する機会の多い和田は、監督から「自由にやっていいぞ」と信頼を置かれており、ここまで公式戦28試合に出場中だ。さらに7得点1アシストの活躍で、既に週間ベストイレブンにも4度選出されており、チーム内トップタイのスコアラーとしてキャリア初のハットトリックを達成している。
「最初は自分のプレースタイル的にチャンスメイクをして、最後に折り返してもらって決めるようなスタイルでやっていましたが、それだとボールが返ってこない。だから自分でもちょっとずつやり方を変えて、自分で行くところは行くし、美味しいところは決められるようにシフトしてきました。自分はあまり規律を決められるとうまくいかないタイプなので、自由に伸び伸びとやれている。正直、日本よりもこっちの方が合っている感覚があります。
もちろんアメリカだとフィジカルの強い選手が多くて、フィジカルの順応は必要でした。でも、逆に自分みたいなタイプが少ないので、中盤でターンしたり、間で受けるプレーで貴重な存在になれていると思います」