Jリーグ挑戦を支えた二人

2度目のJリーグ挑戦で輝きを放っているスアレスだが、実は10代のころに一度日本を訪れていた。

2015年6月10日に開催されたバルセロナB対アビスパ福岡のトレーニングマッチに出場していた守護神は、懐かしそうに当時を振り返った。

「あの試合は5-0で勝ったと記憶しています。一番印象に残っているのは、日本には両足を使えて、とてもテクニカルな選手がそろっているということです。それから、日本のチームはなめてかかると痛い目に遭うという印象を抱きました」

当時のバルセロナBには、かつてJ1ヴィッセル神戸に所属したMFセルジ・サンペールが在籍。スアレスと同年代のサンペールは、2019年から2023年まで神戸でプレーし、一足先にJリーガーとして活躍していた。

神戸でプレーしたサンペール(中央、Gettyimages)

ラ・リーガの名門クラブでともに切磋琢磨したスペイン人ミッドフィルダーが、日本行きを考えていたスアレスの背中を押した。

「サンペールと直接話をして、日本にはどんな選手が多いのか、日本はどんな国なのか、どのように毎日を過ごしてるのか聞きました。そこでポジティブな印象を受けたので、彼との会話が自分を日本に来させるための後押しになりました」

日本でのキャリアは4年目に突入。試合中には日本語で指示を出せるほど、語学面も成長している。

ただ、スペイン人のスアレスにとって日本語でのコミュニケーションに限界があることも事実だ。さらにシーズン開幕後の加入だったため、当初はチームへの適応を不安視する声もあったが、ある男の存在がその不安を吹き飛ばした。

バルセロナ時代のスアレス(Gettyimages)

千葉の主将DF鈴木大輔だ。

「大輔には非常に助けられました。 ジェフに来てすぐにここがどういうクラブなのか、あの人はどういう人なのかと、たくさん教えてもらいました。ピッチ上はもちろん、彼は本当に偉大な人だと感じています。人格者ですし、本当に彼がいてくれたから自分はいち早くジェフに馴染めたと思うので、本当に感謝しています」

鈴木大とスアレスはともにスペインのジムナスティック・タラゴナでプレーしたつながりを持つ。所属期間こそ被っていないが、同じユニフォームに袖を通したキャプテンの存在は、ピッチ内外での適応を助けた。

ディフェンスラインを支える鈴木大(写真 繩手猟)

「彼(鈴木大)はスペイン語が話せるので、非常に助かっています。(ジムナスティック・タラゴナで)一緒にプレーはしていませんが、当時の自分が通っていたレストランや行ったことのある場所に『大輔も通っていたの?』と懐かしい話をしました。

彼はスペイン語がすごく上手なので、細かい戦術の話や細かい指示をするときには、ピッチ上でもスペイン語を使って話をします」とスアレス活躍の裏には、鈴木の存在があった。