次こそ正真正銘のゴールを奪う

ここまでリーグ最少の13失点と好守を見せる徳島は、この試合でも堅守を披露し、ホームチームを苦しめた。

千葉が立ち上がりから試合の主導権を握り、前半だけでシュート8本を放ったが、ゴールネットを揺らせず。後半5分には森がボックス内左からを右足を振るも、相手ゴールキーパーにストップされた。

ストライカーの位置で先発出場した千葉の背番号39は「決め切る力というか、決定力のところは自分自身に問題がある」と課題を口にしつつも、攻守で奮闘。

ケガの状態は「万全」と言い切るように、攻めれば身体を張ったパワフルなポストプレーでリズムを生み出し、守れば相手ディフェンダーへの激しいチェックで、チームを勢いづけた。

果敢にゴールへ迫った森

「万能で何でもできるフォワードを目指している。その上でチームを勝利に導く得点を奪いたい」と、ゴール前へのスプリントを繰り返した森の献身性が決勝点につながった。

後半20分に敵陣右サイドでボールを奪った千葉は、すぐさまFWカルリーニョス・ジュニオにスルーパスを供給。ボックス内へ侵入した同選手から上げられたグラウンダーのクロスは、走り込んでいた森の目の前へ。あとはボールを足に当てるだけという局面だったが、阻止しようとスライディングした相手ディフェンダーのオウンゴールで千葉が先制した。

「カル(カルリーニョス・ジュニオ)がボールを持った瞬間にあそこへ飛び込むのは、練習から意識しています」とチームメイトを熟知したプレーで、古巣の堅守を崩した。

ゴール前へ飛び込みゴールを誘発した森

得点後は恒例のパフォーマンスである“ジェフ三唱”を披露。試合前には「(徳島への)リスペクトもあるので、できるかな…」と口にしていたものの、ストライカーは割れんばかりの歓声を前に、力強く拳を三回突き上げた。

終盤には徳島の猛攻を受けるも、イレブンはゴールを死守。ホームで行われたリーグ戦7試合ぶりとなる白星をつかみ取ると、森はピッチ上に倒れ込んだ。

仲間と喜ぶ森

チームの勝利に貢献した手ごたえから「やり切ったかなって。いまはそういう感じの清々しさがあります」とエゴイストは口にするも、「勝てて良かったというのはありますが、欲を言えば自分がしっかりと得点を決めて勝ちたかった」とゴールハンターとしての飢えは満たされていない。

次節は今月24日午後7時からユアテックスタジアム仙台でJ2ベガルタ仙台と対戦。勝利すれば首位奪還を狙える一戦だ。

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「こういう状況の方が楽しい。ヒリついている方が燃えるし、こういう空気の中でやれるチャンスもない。プレッシャーをモチベーションに変えたい」と、ストライカーは次こそ正真正銘のゴールを奪う。

(取材・文 浅野凜太郎、写真 繩手猟)

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