6月15日午後4時、NDソフトスタジアム山形でモンテディオ山形とベガルタ仙台との今季初の『みちのくダービー』が開催される。

これまでダービーで印象的な活躍を見せてきた山形FW藤本佳希(よしき)の活躍が多くのサポーターから期待されている。

過去に出場したみちのくダービーでは全試合に得点しており、3試合6得点と『ベガルタキラー』として驚異的な結果を挙げている。

Qolyは決戦前に藤本にインタビューを実施。

山形が誇る万能型ストライカーの藤本にダービーへの意気込み、追い求めるストライカーの理想像などを聞いた。

(取材・文・構成・撮影 高橋アオ)

あのときは何かが乗り移っていた

『みちのくダービー』の歴史の中でもこの男の存在は異質だ。通算6得点は山形側では歴代最多得点であり、1試合4得点を挙げた唯一のストライカーである藤本は、宿敵仙台が最も苦手とする選手だ。

利き足の右足はもちろん、左足からも遊び心のあるシュートを放ち、ヘディングで豪快にゴールを奪う選択肢の多さが魅力だ。ボックスの中では危険極まりない男だが、インタビューでは終始柔らかい表情で謙虚に受け応えた。

――『みちのくダービー』で歴代最多の6ゴール。サポーターやファンから『ベガルタキラー』『ダービー男』といわれていることについてどう思っていますか。

「うれしいですけど、僕はどうとも思ってないというか…。うれしいですよ、うれしいし、誇らしいんですけど(笑)。自分ではあまりそう思っていないというか、そもそも3試合しか出ていないですから(苦笑)。自分ではそう思っていないけど、(サポーターに)言われることはうれしいというのが率直な気持ちです(笑)」

『ベガルタキラー』といわれていることにちょっと恥ずかしそうに照れ笑いを浮かべる藤本

――いまも語り継がれている1試合4得点、あの試合は感慨深さがありますか。

「ありますけど、多分引退した後のほうが(感慨深さは)出てくるのではないかなという感じですね。いまはそのときの試合よりも、さらにそれを超えるような自分のプレーや何かを残したいと思ってやっています。いまはそれほど…(苦笑)。もちろん、その試合は自分にとって特別な試合でしたけど、引退した後のほうが特別な試合になりそうな気がしていますね」

――1試合4ゴールはキャリアベストです。キャリアの中では一番手応えがあった試合ですか。

「すべてが噛み合った試合でした。なかなかそういう試合はないですね。やることなすことすべてがうまくいくみたいな。何しても入っちゃうみたいな。そういう感覚のゲームだったので、あれは特別な感覚でしたね」

――いわゆる『ゾーン』に入ったという感じでしょうか。

「それに近いかな…。それがどういうものか僕も分からないですけど、それに近い感覚にはなっていたし、何かが乗り移っていた感じもありました。間違いなく普通ではなかったですね」

2023年7月のダービーは『ゾーン』のような状態だったと明かす藤本

――あの試合は右足、左足、頭で決めていましたけど、得意な部分はどこですか。

「(利き足の)右足寄りだとは思いますけど(笑)。僕は右利きなので、それは相手も分かっている。自然といろいろなバリエーションになりますし、ヘディングというのもプロに入って成長した部分だと思います」