宮本が語る継続の大切さ

5月16日に宮本が左眼窩底骨折(全治3カ月)の負傷を負ったとクラブから発表された。

開幕節から先発フル出場を果たしていただけに思わぬアクシデントに襲われてしまったが、それでも宮本は冷静さを失わなかった。

平静さを保てた理由は自身が大切にしているフィロソフィーにあり、強じんなメンタルで1カ月早くピッチへと舞い戻った。

――今シーズン5月に左眼底骨折をして、全治3カ月の見込みのなか2カ月で復帰されました。大ケガだったと思います。この間に努力した部分を教えてください。

「手術して1カ月は全然動けませんでした。汗もかけないみたいな状態だったので、(その間は)クラブハウスに1回も行っていないし、車の運転もできませんでした。

でも1カ月が明けてからは徐々に体を動かせるようになって、2カ月後にはまさか試合に出ると思っていませんでした。

医者からOKが出て、チーム状況的にもケガ人が多い状況だったので、すぐに(チームへ)戻れました。アンラッキーではありましたけど、すぐにピッチに戻って試合に出られたこと、試合に出ながら回復できたことは大きかったですね」

――防護用マスクをかけて試合をされていました。それでもコンタクトプレーは怖いと思います。

「僕の場合は(負傷部分が)周りの骨ではなくて眼球の中の骨だったので、相手の手や指が目に入る、ボールが目に当たるとか、眼球に圧がかかると再手術になる形でした。

サッカーをやっていたら目に手が入ることがたまにあるじゃないですか。あのマスクをしていても通り抜けて来るというか。相手の腕が見えたりすると、ちょっと怖さみたいなものがありました。

でもプレー中はわりと夢中でサッカーをやっていたので、そんなに意識はしませんでした。練習のときは『怖いな』と思うこともありましたね」

――想像しただけでも形容し難い恐怖ですね。1カ月間何もできなかった辛さや再手術の恐怖など、どのようにして乗り越えて克服しましたか。

「サッカーをやっていたらそういったケガは絶対あります。人間が『下るタイミング』というか、サッカー選手としてそういったケガをして試合に出られない『下るタイミング』のときに、どれだけ自分が苦しくても維持できるか、やってきたことを継続できるかが大事です。

その『下っていく』ときにいかに自分を保つかで、その下る幅を浅くできるというか。次に『上に登るときに高い位置から登れる』と、ずっと思ってやってきました。

そういったケガをしてうまくいかなかったときに、こらえて、やってきたことを継続することで次の成功につながると何となく分かっていました。

自分の中で何かを変えたとか、何かがあったから頑張れたみたいなものは特になかったです。なにせ受傷してすぐは何もできなかったので、特にやることはありませんでした」