今シーズンがクラブ創設30周年となったJ2の水戸ホーリーホック。

2000年のJ2参戦以来、「昇格も降格も経験したことがないクラブ」として知られる彼らだが、一方で伸び悩んでいた選手を覚醒させることに定評がある。

ここでは水戸で武者修行(期限付き移籍)したことが転機となり、その後、日本代表や国際大会で活躍した選手たちを特集しよう。

小川航基

水戸での成績:17試合7得点(2019年)

現所属:NEC(オランダ)

高校サッカー界のスター選手だった小川航基は、名波浩(現・日本代表コーチ)からラブコールを受けてジュビロ磐田へ加入。東京五輪のエース候補一番手として大きな期待を受けた。

しかし2017年に行われたU-20ワールドカップ中に前十字靭帯断裂の大けがを負い、1年近く棒に振ることに。2019年、磐田を構想外になる形で水戸へ期限付き移籍したがこれが眠れる獅子を呼び覚ました。

2022年に実施したQolyのインタビューで水戸時代を振り返った小川は、「反骨心とか死に物狂いの選手たちの目をみて自分も感化された」と語っている。

水戸で点取り屋の本能を取り戻した小川は、その後横浜FCでJ2得点王に輝き、2023年夏にはオランダのNECへ。日本代表にも返り咲き、今年6月のミャンマー戦では代表でおよそ4年半ぶりのゴールを決めた。

伊藤涼太郎

水戸での成績:6試合0得点(2017年)、34試合9得点(2018年)、20試合4得点(2020年)

現所属:シント=トロイデン(ベルギー)

U-15から日本代表の常連だった伊藤涼太郎。天才肌のMFは、岡山の強豪である作陽高から浦和レッズへ加入した。

しかし浦和では柏木陽介らの牙城を崩せず、1年半で公式戦わずか2試合の出場にとどまる。東京五輪出場を目指す彼は、2017年9月にJ2・水戸へ育成型期限付き移籍した。

2017年は6試合無得点に終わるが、翌年チーム2位の9得点を記録してブレイク。先日現役引退を発表した水戸のレジェンドGK本間幸司らのプロとしての姿勢に影響を受け、自身が変わるキッカケにもなった。

その後、アルビレックス新潟での大活躍で昨夏にはヨーロッパ移籍も実現させ、今年元日のタイ戦で日本代表デビューも果たした。