「ヨルダンのメッシ…とは呼ばれたくない!」
ヨーロッパでもその実力を発揮しているアル・ターマリ。右サイドや最前線を得意としているアタッカーで、最大の武器は左足から繰り出される圧倒的なドリブル突破である。
「僕は1対1のプレーが好きだ。ドリブルが得意で、足元で素早くボールを扱うことができる。ただ、周りとのワンツーも好きだし、チームプレーに入ることも楽しいよ。自分のプレーだけに固執する選手じゃない」とアル・ターマリは自身のスタイルを説明する。
APOELニコシアでプレーしていたときに、彼につけられたあだ名は「ヨルダンのリオネル・メッシ」。左利きのドリブラーとしてはこれ以上ないような光栄なものだが…。
「僕のことをそう呼ぶ人がいることは知っているけど、そのニックネームはあんまり好きじゃないんだ(笑)。それはキプロス時代のものだね。あそこのファンは…ちょっと頭がおかしいんだ(笑)」とアル・ターマリは言う。
そして「APOELで僕はピッチ上で全てを捧げ、多くのゴールを決めたから、APOELのファンが僕を崇拝する『ヨルダンのメッシ』という歌を作ったんだよ」とも。
また「APOELのファンは別格、特別だ。また彼らに会いたいと思うし、あそこはいつだってスペシャルな場所なんだ」と、クレイジーなサポーターの素晴らしさとAPOELへの思いを語っていた。
【関連記事】日本代表、アジアカップで評価を下げてしまった5名の選手
ヨーロッパのスカウトが見向きもしないヨルダンリーグ。しかしながら、アル・ターマリはAFCカップで活躍してヨーロッパへ渡るための蜘蛛の糸を掴んだ。
そしてチャンピオンズリーグやヨーロッパリーグに出場することでビッグチームとの対戦機会を得て、ベルギーリーグ、そしてフランス・リーグアンへと徐々にステップを進めていった。
世界最高のサッカーの舞台がヨーロッパであるならば、少しでもヨーロッパのスカウトが見ている場所に近づき、そしてインパクトを残すこと。そしてチャンスを得たらすぐにそれを生かすこと。それこそが「アル・ターマリが唯一の欧州組」になれた理由だろう。
そんなアル・ターマリにとっては、このアジアカップも「更にステップアップするためのステージ」。ヨルダンの英雄は10日の決勝戦でも力を発揮できるだろうか。