しかも、ロシアクラブの欧州コンペティションでの成績が向上したとは言い難い。春秋制では前述の通り優勝したこともあったが、秋春制移行以後はEL準々決勝進出が最高なのだ。
では、秋春制で得られたものは何か。現地ではこう伝えられている。
サッカー関係者が1年に二度の休暇をとれるようになったこと。
そして、CSKAなどのクラブが主戦力としてきたブラジル代表選手を夏に開催されるコパ・アメリカ期間中で失わずに済むようになったこと。だが、これはロシアのウクライナ侵攻で状況が変わってしまった。
一方、失われたものは何か。
2部リーグのクラブは3月~11月までの給与支払いが、ほぼ1年になり経営的な厳しさが増した。
昇格チームのプレシーズンが短いことも問題。予算は1月~12月で組まれるが、シーズンは7月から翌年6月のために財政的なギャップが生まれる。シーズン終了時に来年の予算が分からないチームもある。
これらの面から春秋制に回帰するように訴える声も出ている。ディナモ・モスクワのロシア人MFデニス・マカロフもそのひとりで、「カルピンの言葉を聞いた。雪の中を走るのではなく、いい状態でプレーしたい。コンディションが良ければ、より高いレベルのサッカーを見せることができる」と発言。
また、トミ・トムスクを監督として指揮したヴァレリー・ペトラコフも「移行の成果はなかった。状況を考慮して以前に戻す必要がある。 なぜなら、どんな天候でも快適な環境のスタジアムでプレーできるゼニトや、南部でそのようなアリーナでプレーできるクラスノダールのようなクラブはほとんどないからだ」と述べている。
一方で、いまさら戻すことは望まないという声もある。実際、ガザエフは春秋制への回帰に関する騒ぎは「貧乏人のための話」と言い放ったそうで、クラブ間の貧富の格差も問題のひとつになっている。
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現地では「問題は一年で最も良い時期にプレーし、悪い時期にプレーしないようにするにはどうすればよいか」とも伝えられているが、果たして。