そして、サイドハーフとフォワードを兼務したアルトゥール・カイキの退団により、マルチな外国籍アタッカーの獲得にも動く可能性もある。仮に外国籍FWを獲得できたとしても、すぐにフィットできるとは限らない。よって、中央とサイドに対応するアタッカーを獲得するのは理に適うはず。

かつてのセルジーニョやエヴェラウドのような万能型を迎え入れることができるか。来季のタイトル獲得に向けて、試されるのはフロントの“本気度”だ。

伝統への回帰が常勝軍団復活の足がかりに

来季のタイトル獲得に必要なのは、補強面だけではない。「どのようなスタイルで戦うか」という明確なコンセプトもまた、フロントおよび新監督が示すべき重要ポイントである。

志向するスタイルを考えた時、構築と成熟に時間を要するポゼッションサッカーよりも、短期間で結果につながりやすい「堅守速攻」を標榜すべきだと考える。なぜなら、早急にタイトルを獲得して「勝ちぐせ」をつけることが、現状の脱却に何よりも必要だからだ。

リーグ戦、ルヴァンカップ、天皇杯のうち、もっとも難しいのがリーグ制覇だ。長丁場のリーグ戦は総合力がモノを言う。現状のチーム力を踏まえると、来季の優勝は現実的ではないだろう。

上述したように、ヴィッセル神戸と横浜F・マリノス(以下横浜FM)には今季4戦全敗。補強次第ではあるが、現状では上位クラブとの差が大きいのも理由となる。

そうなれば、カップ戦(ルヴァンカップおよび天皇杯)でのタイトル獲得に照準を合わせていくべきだ。もちろん、そう簡単にカップ戦を勝ち取ることができないのは、ここ5年の成績が証明している通り。だが、総合力がモノを言うリーグ戦よりは、戴冠の可能性があると見る。

来季のカップ戦制覇に向けてお手本としたいのが、今シーズンのルヴァンカップ王者・アビスパ福岡と天皇杯準優勝・柏レイソルだ。両チームともソリッドな「堅守速攻」を基本コンセプトとし、スキのないコンパクトな守備ブロックとスピーディーかつ推進力のある攻撃を特長とする。

慎重な展開になる一発勝負のカップ戦では、堅守速攻型のチームが勝ち上がりやすい側面がある。カップ戦を制して6年ぶりのタイトル獲得を実現するためにも、現実路線を歩むべきではないか。

鹿島というクラブは元来、カウンターまたはセットプレーからの一発をしたたかに逃げ切るスタイルを武器としてきた。今こそ伝統の戦い方へ回帰し、まずはカップ戦を勝ち取る――。

かつて石井正忠氏(現・タイ代表監督)のもと、伝統を体現していた昌子源、土居聖真、柴崎岳らの存在も心強く、「堅守速攻」の下地は整っている。