偽SBもこなす司令塔型SBに変ぼう

右SBに定着した高橋は開花するように右サイドで躍動した。今季は30試合に出場し、出場時間が2255分とキャリアハイを更新。プロ3年目の2019年にモンテディオ山形へ期限付き移籍した際は、公式戦出場ゼロと苦しい時期を過ごした。昨季はリーグ戦8試合出場と思ったような出場機会を得られなかったが、SBに活路を見出した高橋はサイドの底からボールを的確に配給する司令塔型SBに変ぼうした。

――プレーを見ていて似ている選手を挙げるとしたらカンセロ、キミッヒ、ジンチェンコ、内田篤人さんのような司令塔型のSBを思い浮かべました。

スピードがあってギュンギュンとしかけられるタイプではないので、より頭を使って、サッカーを理解した上でプレーできるようにしていくことがいいんじゃないかと。

カンセロ選手はちょっと飛躍しすぎです(笑)。でも理想はそういったいろんなことができることで、チームにいい影響を与えられる選手になれたらと思っています。

バルセロナでプレーするジョアン・カンセロ(左)

――インナーラップで入った際、偽サイドバック(ボランチなどが集まる中盤へ移動してボランチの役割もこなす高度な個人戦術)的な個人戦術をトライしているようなシーンがありましたね。

(偽サイドバック)やっていますね。基本的にチームのやり方にもよると思うんですけど、チームで原則とされている、確立されているものに、少しでも自分がアイディアを加えたりしています。

右サイドのユニットの中で、うまく立ち回れるように試合を見ながら考えてやっていました。

――右SBをプレーする上で自信を持っているプレーはありますか。

ビルドアップですかね。もともと中盤をやっていたということもあって、そこは繊細にやっている部分です。もちろん負けたくない部分はいっぱいあるんですけど、ボールを持つことに関して逃げることはしたくないです。

――現代サッカーではSBが1番ボールを触れるポジションといわれています。いままでボランチ、トップ下で培ってきたものをSBでどう表現したいですか。

時間を作れるようになりたいと思っています。僕のところでボールがしっかり収まることで、周りの選手たちにいい時間を与えられるようにと思っています。

――SBとして成功していくための完成形のビジョンは持っていますか。

サッカーはすごく変化しています。SBに求められるタスクは、すごく多いと思います。そうなると、いままでだったら縦の上下動だけで良かったSBが、中に入るプレーや、高い位置を取るプレー、センターバックの役割もこなさなければいけない。

よりマルチにプレーできる選手が生き残っていくんじゃないかと思います。もともとできないプレーがあることがすごく嫌でやってきました。そこを意識してやる必要があると思っています。

――高橋選手のキャリアの目標を教えてください。

ヨーロッパのトップレベルに行きたいです。年齢的にはかなりギリギリかもしれないですけど、どうなるか分からない。いま世界のトップでも30歳を超えても活躍している選手はたくさんいるので、常に上を目指してやっていきたいです。

――その舞台に立つためには何が必要ですか。

まず基本的に絶対的な身体能力が必要だと思っています。フィジカル、スピードがないとSBであの舞台では戦えないと思っています。プラスしてチームの戦術の中にどう入っていけるか。

やれることが多いほうが、より機能的なチームでは重宝されると思っています。形を変えたときに、できる選手がすごく重要だと思っています。