攻撃の起点を相手陣内のサイド深くに設定することで、自分たちのクロスが相手に当たってタッチラインまたはゴールラインを割る可能性は高まる。クロスボールを相手がクリアした場合も同様だ。
そして、同じ事象はロングスローとセットプレーでも起きる。相手のクリアボールがタッチラインまたはゴールラインを割り、再びロングスローorセットプレーにつながる。またもクリアボールがラインを割り……とループ状態になれば、押し込み続けることが可能だ。
自分たちの最大の強みであるロングスローとセットプレーを生かすためにも、相手を敵陣サイド深くに押し込むのはマスト。そのためには、前線へのロングボールがもっとも効果的となる。
また、敵陣深くに押し込めば、ゴールに直結する危険なカウンターを食らうリスクを軽減できる。すなわち、攻守において大きなメリットがあると言えよう。
一方の守備では、フィールドプレーヤー10人が走り続けるハードワークが最大の特長である。味方同士で助け合い、体を張った守備でゴールにカギをかける姿勢が光る。
「中を閉めてしっかりコンパクトにして守るというのは秋田のベースにある」
第33節のジュビロ磐田戦後、左サイドバックの飯尾竜太朗は守備の約束事について触れた。飯尾が語る通り、「コンパクトにして守る」というのが絶対的な指針となっている。
守備ブロックをコンパクトにするには、フォワードの献身的なプレスおよびスペースを埋める動きがセットになる。
その点、吉田監督率いる秋田に心配は無用だ。2トップの守備におけるハードワークは言うに及ばず、攻撃ではロングボール&クロスのターゲットとなり、サイドに流れて起点となる。
様々なタスクをこなす2トップの消耗が激しいことは指揮官も重々承知しており、先発起用したFWを60~70分で交代させるのが基本である。
“ブレない秋田”は地方クラブのお手本に!
冒頭で触れた通り、3シーズン連続となるJ2残留を確定させたブラウブリッツ秋田。
かつてJ1に所属したクラブが苦しみ、そう簡単にJ1へ戻れないJ2は、非常にタフなリーグだ。そのタフな環境をタフに戦い抜いている。しかも3季連続、日本人選手のみのスカッドで残留を果たしたことは、称賛されるべき偉業だろう。
秋田の“ブレない姿勢”は、地方クラブのお手本になると筆者は考える。