そうした中で昔、なでしこフィーバーが沸き起こった時でいうと、距離というよりキックの質で勝負していたりしました。

以前で言うと、宮間あや選手のキックもすごかったですよね。女子の場合セットプレーでの選手の配置がちょっと男子と違ったりするんですよ。なぜかと言うと、男子はやっぱりニアにすごく速いボール入れられたらもう止められない時とかがあるじゃないですか。だから前の「ストーン」に何人か多く置いたりします。

でも、女子であの質のボールを蹴ることできる選手は少ないんですよね。やっぱりパスやキックのスピードが違うんです。

そこで距離を蹴ることはできなくても質で勝負していた。驚くほど質の良い速いボールを、日本では宮間選手が左右両足で蹴れたというのは、海外のチームからしたら脅威だったと思います。単純に「逆サイドまで蹴れ!」といったキック力とはまた別な話ですから。

ニアポストに鋭いボールを蹴る選手がどんどん出てくるとか、細かいセットプレーもたくさん持っているといったところになると、やっぱり日本はすごいなと。

陸上の400メートルリレーで、海外のチームが雑なバトンリレーをしている中、日本はそこを突き詰めていく。他の国は気づかなかったことだったと思いますし、真面目に練習もしていなかったでしょう。素晴らしいですよね。

あれを、女子サッカーの場合はできる場所がいっぱいある気がするんですよ。深い目で見ていると「おお、指導者の要求ができている!」みたいなのがあるんです。

だからやっぱり、日本の女子サッカーは世界で一番であってもらいたいですし、また世界が驚くようなことを出してもらいたいです。