協調性を重んじる国民性
――意思疎通をしっかりして、相手の主張もしっかり受け入れる土壌があるのですね。
もう一つは練習中に若い選手が自分勝手でゴールが決まらない状況でも、シュートを打つ選手もいたんですよね。
でもそういう選手とも普段からコミュニケーションを取って「絶対この場面はパス。俺にパスを出した方が得点率は上がる」と話しました。
実際に点を取った試合で、2点目の決勝ゴールですね。
普段だったら自分勝手に無理矢理シュートを打つ選手がヘディングで自分に折り返してくれて、それを僕がボレーシュートで決めて2-1で逆転勝ちしました。
(所属した)期間は短かったですけど、監督、選手とコミュニケーションを取れて(サンルイス・タルパは)すごくいいチームでしたね。
――協調性があって、指摘されれば課題を克服する部分は中米でもかなり異質ですね。
本当に『中米の日本』という言葉通りですよね。
僕がメキシコやグアテマラでサッカーした経験から考えると、エルサルバドルでのプレーが一番ピッチ上で円滑にコミュニケーションを取ってコレクティブなプレーができました。
だからといってエルサルバドルリーグ自体が、エルサルバドル代表が、そうだとは言えません。
ただ当時そういう強烈な出来事というかエピソードがありました。
明らかにメキシコやグアテマラとはちょっと違いますね。
――よく中米は治安が悪いといわれますけど、エルサルバドルは如何でしたか。
エルサルバドルは治安が悪いと正直感じなかったんですよね。
治安が悪い場所だと、メキシコやグアテマラだと「この辺やばいな、危ないな」という場所がすぐ見つかります。
エルサルバドル首都のサンサルバドルや、自分が行ったサンルイス・タルパ(チームのホームタウン)では、そういう空気やそういう場所は感じなかったんですよね。
ただその当時のエルサルバドルは先進国ではなかった。人が亡くなるような交通事故を目の前で見たこともありました。