『中米の日本』といわれる理由とは
――日本ではあまりエルサルバドルの情報がないのですが、エルサルバドル人の気質はどうでしたか。
まずエルサルバドルが当時『中米の日本』と言われていたんです。
シンプルに言うと、日本人に気質が似ている部分があるということです。
中米の人は、例えばメキシコ人だと陽気で、サルサを踊って、アミーゴと言って明るい。
中米の人は良くも悪くもトリッキーで人を騙すこともあります。
スポーツの現場ではトリッキーなことはいいことですし、ちょっと社会的においても人をトリックというか、騙すような習性もあるんですけど。
比較的エルサルバドル人は真面目で、相手をリスペクトしたり、協調性があります。中米の中ではすごく異質な感じがするんですよね。
――『中米の日本』と言われているとは知りませんでした。それは異質ですね。
でもその異質というのは、中米では異質なだけで、日本人に近い部分があったんですよね。
僕が腓骨を折ってギブスをして、松葉杖で歩いていたときの話です。
グアテマラからエルサルバドルの国境を渡るためにグアテマラ側のバスに乗った際、松葉杖をついて立って乗っている僕に誰も席を譲ってくれないんですよ。
でも国境を渡ってエルサルバドル側のバスに乗ったら、みんなが「お前座れ、座れ」と僕に席を譲ってくれた。
すごく相手のことを思いやる部分があるんですよね。
――すごく優しい国民性ですね。
サッカーのプレーも実際に自分が所属したチームは、すごく監督が僕自身にコミュニケーションをとってくれた。
「どこのポジションをプレーしたい?」とか、「このゲームだったらどこだったら活躍できる?」と話をしてくれました。
例えば前半は僕自身がフォワードでプレーしていたんですけど、あまりボールが回ってこなかった。
ハーフタイムに監督に「トップ下に(位置を)下げてくれないか」と言ったらOKが出て、トップ下に下がって自分がゲームメイクしてからゴールまで入っていくプレーをやれた。
デビュー戦になったカップ戦のトーナメントで2ゴールを入れて、0-1を2-1でひっくり返して勝ちました。
活躍ができたのもそういったエピソードがありました。