――今の神戸には、アンドレス・イニエスタというすごく大きな存在の選手がいます。同じピッチにイニエスタ選手がいるというのは率直にどんな感じなんです?

これは良い意味でなんですけど、やっぱりちょっと慣れてしまったというのは若干あります。アンドレスがすごいプレーをしても「まあまあまあ」みたいな。「それくらいしてくれるでしょう」みたいな感じで(笑)

とりあえず渡せばボールを失わないですし、もし僕がセンターバックをやるにしてもサイドバックをやるにしても、困った時にアンドレスの場所だけ分かっておけば、アンドレスに渡れば取られないので。

それでもやっぱり、“言語化できない凄さ”がありますね。

――ボールを持つことに関してすごく特別なものがある選手だと思います。三笘選手のドリブルとイニエスタ選手のドリブルの違いみたいなところではどんなことを感じますか?

お互いに相手の重心を見ているというか、どちらの足に体重がかかっているかを見て、逆を取ってくる感じがすごく似ていると思います。

薫はそこからどちらかというとスピードで抜いていく感じなんですけど、アンドレスの場合は…何て言うんですかね。一瞬のスピードが速くて、ボールが足もとから離れずにドリブルをしてきます。

単純なスピードだけでいえば、薫のほうが速いとは思います。アンドレスはドリブルしている時に足もとにボールがあるので、抜きに来た時に自分が対応すると逆に変えることができたり、僕が取りにいった瞬間にパスを出せたりみたいなところがあります。

ずっと一緒にサッカーをしていて色々な選手にも聞いているんですけど、そこを言語化できる選手はあまりいないのでちょっと難しいですね。どう説明していいか分からないんですけど、近寄れない感じがあります、アンドレスは。

――イニエスタ選手のところだけ特別な空間があるように見えるのはそういう何かなんですね。

時間が若干遅く流れているみたいな、アンドレスだけが速く動いているみたいな感じの。難しいんですけど本当にそういう感じです。