――また、脇坂選手は球際のガチャガチャっとした場面で自分の前にボールを持ってくるのがすごく巧いように感じます。その辺り、中学時代にアルゼンチン的な指導スタイルで知られる神奈川のエスペランサSCでプレーしていた経験が生きているように見えるのですが、ご自身の中ではいかがです?

エスペランサでは、サッカーにおいてすごく大切な“ずる賢さ”を学びました。

僕には大きな身体もないですし、圧倒的な強さもありません。そうした中で、球際は絶対に負けられないと思っていて、タイミングをずらしたり、相手が来ないタイミングで自分からぶつかったりなど、エスペランサで教わったことは今でも生きています。

球際に関しては今後もずっとついてまわる課題だと思うので、僕が予期していないタイミングで相手が来た時も勝てるようにしていきたいです。

――相手の予測を外すターンなども巧いです。どんなところを見て駆け引きをしているのか、企業秘密かもしれませんができる範囲で教えてください!

ここを見ているとかはなかなか言いづらいのですが、神経をすごく使って、アンテナを常に張っています。

自分から見る場合もありますし、相手の視界に入っている場合もあります。そのアンテナですかね。見えていればこちらから見る必要はないので。相手がどこにいるか見る作業もそうですし、自分の視界に入っていれば相手も見えているということなので、あとはどう来ているのかをギリギリまで間接視野で見る。

そうやって常にアンテナを張っていると、試合後に“気疲れ”してしまうこともあって。だから目のトレーニングをやり始めたというのもあります。

――感覚的な話ですが、中盤の選手などはすごく参考になると思います。ありがとうございます。そして脇坂選手と言えば、やはり「止めて蹴る」。動画などで楽しみにしている方は川崎のファン・サポーターに限らず多いと思います。実際、一番こだわっているのは何ですか?

「何のために止めるか」が一番重要だと思っています。

次のプレーをスムーズに、見えているものを判断し、正確にプレーする。そのためには、ボールを止める、蹴るがないと始まりません。そこは常に意識しています。

※クラブ公式の練習レポでも名物となっている脇坂の「止めて蹴る」。11月23日配信のものはかなり難易度が高い(動画5分26秒から)