葛藤を経て、たどり着いた結論

ただ、実際に市長の当選が決まったタイミングあたりで、いろいろなリサーチを続けながら、クラブ創設を実現しようとする四方氏の中に大きな葛藤が生まれていたという。

「自分の家はシンガポールにあり、そこに家族がいて、ビジネスもやっている。鎌倉でクラブを作るとは言ったものの、すべてを放り投げるにはいかない。そんな中途半端な姿勢でいて、誰がこのクラブ、プロジェクトを本気ととらえてくれるだろうか。そんな、後ろめたさがあるなかで本当にやりきれるのかという自問自答がありました。

そこで、僕のメンターのような存在で、現在タイに住んでいる、昔ザスパ草津の立ち上げに尽力された方に相談したところ、こう言われたんです。

『君は鎌倉から世界を相手にするんだろう。君がシンガポールに住んで、そこでビジネスをやっているわけだから意味があるんじゃないか? だからこそ、今この瞬間は何も実態がないインターナショナルFCのビジョンの説明がつくんじゃないのか? それなのに君自身が鎌倉へ行ったら、まったく説得力がなくなる』と。

自分がシンガポールにいることがこのクラブの価値になる―。そう考えられるようになったことが本当に大きかったです。

2017年10月に市長選挙があったんですが、そこから数か月はクラブが本当にやれるのかどうか、のちにGMとしてクラブの実務全般を任せることになる吉田健次とともに様々な視点から検討しました。

出た結論は、『分からない』(笑)。ただこれがポイントで、成功するかどうか分からないけど、絶対に失敗するという確証もない。

なんか可能性を感じる。じゃあ、やってみようかということで、2018年1月に鎌倉インテルを創設しました」

こうして、鎌倉に新たなサッカークラブ、鎌倉インターナショナルFCは生まれた。

「かっこよくいえば、壮大なビジョンから生まれたクラブです。本邦初のパワーポイントから生まれたクラブ、とも言えるかもしれません(笑)」

今回はあくまで創設秘話だが、「国際的なスポーツであるサッカーをツールにし、より社会的で普遍的な価値のあるものをゴールにする」鎌倉インテルというクラブを語る上で、決して避けられない話でもある。

では彼らが抱くスタジアム構想、そしてクラブが掲げる『徹頭徹尾国際化を意識したサッカークラブ』とは具体的にどういったものなのか。

こちらは後編でお届けしたい。

後編はこちら>>鎌倉インテル、夢のスタジアム構想とともに描く「鎌倉モデル」と「国際化」

なお、鎌倉インテル創設に際しては、他にもいろいろミラクルな出来事が!

創設にまつわる秘話や初年度の軌跡など、詳しいことは四方氏の著書『ビジョナリーサッカークラブのつくり方 鎌倉インターナショナルFC、創設初年度の軌跡』に書かれているので気になる方はこちらもぜひ。電子書籍版もあるぞ。


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プレイヤーは自分だけのオリジナルクラブの全権監督となり、クラブを育て、選手をスカウト。そして、育てた選手とともに世界の頂点を目指します。

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