サッカーファンにはお馴染み、セガの人気ゲーム「サカつく」シリーズ。
自身が創設したサッカークラブの代表に就任し、クラブ運営や試合采配などを行いながら世界最強を目指すクラブ運営シミュレーションゲーム「プロサッカークラブをつくろう!」として、1996年2月に第1作目が登場。以降様々なプラットフォームで多くのシリーズ作が発売されている。
現在はスマホ向けのゲームアプリ『サカつく ロード・トゥ・ワールド(サカつくRTW)』が配信中。いつでもどこでも楽しめる同作も人気となっている。
Qolyは前回、「サカつく」の宮崎伸周プロデューサーと共に福島県のいわきFCを訪問しその全貌に迫ったが、現在のサッカー界においてもう一つ、これまでの常識を覆そうとしているクラブがある。それが愛媛県のFC今治だ。
もともと大西FCサッカークラブとして1976年に発足した小さなクラブは、たった8年前まで愛媛FCのリザーブチームに過ぎなかった。しかし2014年11月、元日本代表監督の岡田武史氏が代表に就任したことでその状況は激変する。
クラブはほぼゼロからの始動となったものの、岡田氏が掲げる理念に共鳴した者が今治の地に集い、クラブは先月、ついにJリーグへの参入を決めた。
QolyではそんなFC今治の秘密を探るべく、再び「サカつく」の宮崎プロデューサーと共に現地へ向かった。その第一弾となる今回は、FC今治を牽引する矢野将文社長にクラブの内部や“壮大な夢の現在地”をうかがったぞ。
(取材日:2019年9月22日)
J昇格を決めたFC今治、社長は元“一流ビジネスマン”
宮崎伸周プロデューサー(以下宮崎):矢野社長は東大卒で元ゴールドマン・サックスという経歴をお持ちですが、FC今治に関わることになったのはどういうきっかけだったんですか。
矢野将文社長(以下矢野):2014年の10月です。岡田武史氏がオーナーになった翌日にお会いしました。
私はサッカーを中高大とずっとやっていました。ただ10年間ゴールドマン・サックスで働いた後、友人の起業の手伝いをし、地元の愛媛に戻って農業や林業の勉強をしたんですが、腰を痛めてしまって。治療してそろそろ働けるかなと思っていた時に、岡田さんと会いました。めちゃくちゃ偶然です。
私と岡田氏には共通の知人がいまして、岡田氏はもともとその知人に社長になってもらおうと思って声をかけたんです。その方は、僕にとっては東大サッカー部の先輩でありゴールドマン・サックスの別部署の同僚みたいな方だったですが、その方から僕に「今今治にいて夕方松山によります。岡田武史元日本代表監督といるので空いていたら会ってみませんか?」というショートメールが来ました。
実はその方とは喧嘩したこともあったのですが(笑)、「お邪魔でないなら、ご一緒させていただきたいです。」とお会いしたんです。すると「昨日オーナーになった。今治で日本のサッカーの型を作るんだ」という話になったんですよ。