――「サカつく」ではゲームを始めて、まず何に投資をしていくかユーザーにとって悩みどころです。いわきFCの社長に就任し、クラブを一から作っていく中で一番気をつけたことは何でしたか?
やはり、まずは施設。スタジアムも含めたファシリティですね。結局そこがないと人が集まれないですし、アイデンティティも生まれません。
このクラブハウス「いわきFCパーク」も、選手のロッカーとグラウンドのみというスタートから、“人が集まれる場所”としてどんどん発想が大きくなっていきました。
ビジョン・ミッション・バリューや、そこに紐づく現場と会社の方針などはもちろんクラブにとって大事ですが、先ほども言ったように私はファシリティを持っていることがスポーツビジネスの原点だと考えています。
いわき市の人口は約35万人です。ホームタウンとして「人口が少ないのでは?」という声も聞くのですが、スポーツはローカルなものだと思っていて、福島民友さんや福島民報さんという福島県の主要メディア2社もいわきに支社を置いています。こういったマスコミの反応がどういう風に広がっていくかも最初から注視していました。
現在の「いわきFC」というクラブ名、そして「株式会社いわきスポーツクラブ」という屋号を付けることに関しては、実は相当な議論がありました。現在、東京や大阪とともに世界的に知られるようになった福島県の名を入れた「株式会社福島スポーツクラブ」なども候補に挙がっていたんです。
しかし最終的には約35万人のいわき市にターゲットを絞った、ローカルスポーツビジネスとして「いわきFC」が誕生した経緯もあるので、やはり施設として“自由に使えるファシリティ”はものすごく大事ですね。
本来クラブはそこへ最優先に投資しなければならないと思っているのですが、選手の給与などにより後回しになりがちです。そして行政に「お願いします」となり、結局は比較的お金のある親会社を持つクラブが先に施設を建ててアドバンテージを持ってしまう。
難しい面があるのは事実ですが、いわきFCではとにかくまずはファシリティを重視しました。
※充実した設備のトレーニングルーム。手前は通路になっており誰でも中の様子を見ることができる。
※グラウンドは周囲を山に囲まれ、サッカーに専念できる環境が整っている。
※いわきFCの素晴らしい施設に圧倒される「サカつく」宮崎伸周プロデューサー。