――続いて攻撃的MFはいかがでしょう?
まぁ、間違いなく入れなくてはいけないのが中村憲剛ですよね。
「今季が特に凄かった」というわけではなく、彼からすると今季も平常運転だったのかもしれませんが、リーグトップのアシスト数(11)を記録し、重要なものを含めてゴール(6)もありました。数字の面で見ても、このポジションにおいては拍手喝采の活躍だったと思います。
「年を重ねると衰える」というのは定説ですが、Jリーグにはそれを覆す選手が数人います。彼は間違いなくその一人で、プレーヤーとしては未だに成長している感すらあります。来年38歳ですからね…。どこまでのこのパフォーマンスを維持するのか、個人的にも楽しみに見ています。
――その他に続くのは?
ここからは少々悩みます。
前半戦のペースでいけば、山村和也(セレッソ大阪)は面白かったんですが、ノリに乗った時に故障離脱してしまいました。大森晃太郎(ヴィッセル神戸)もしかりですね。
逆に尻上がりに存在感を見せてきたのが、阿部浩之(川崎フロンターレ)、レアンドロ(鹿島アントラーズ)、アダイウトン(ジュビロ磐田)でしょうか。
とりわけ、絶好調時のアダイウトンは手に負えませんでした。あのパワーとスピードはJリーグのレベルを超えているのではないでしょうか。まだまだ荒削りな中での8ゴール4アシストでしたし、来季は更に相手チームに脅威を与えるんじゃないでしょうか。
数字で言えば、倉田秋(ガンバ大阪)も8ゴール3アシストで孤軍奮闘していました。
ただ、パフォーマンスが良くないというか、消える時間が多い試合もあったように思うので、個人的にはそこまで強く推しません。彼の場合、何から何までやろうとする選手なので、少々器用貧乏な感じがあるのが少々残念ですね。もう少し役目が明確化にすることで、さらに高いパフォーマンスを発揮すると思うのですが、それは来季のチーム構成次第でしょうか。
一方、数字の面では寂しかった(0ゴール1アシスト)ですが、チャナティップ(北海道コンサドーレ札幌)も印象的でした。
シーズン途中に加入した当初は、正直、懐疑的に見る考えもあったと思います。「単なる話題作りの一つだろう」という声すらありましたから。ですが、蓋を開けてみると、Jリーグ初挑戦とは思えない活躍を見せてくれました。
彼が入るまでのコンサドーレは、最前線にロングボールを当てたり、サイドからのクロスという比較的単調なサッカーが多かった印象でした。ですが、彼が入ってからは中盤のキープ、ドリブルでの崩し、アタッキングサードでのスルーパスが加わり、チームの戦術自体にも変化が生まれていました。
特に驚かされたのがそのキープ力です。158cmという低身長ですが、フィジカルコンタクトに強くボールの置き所も良いので、大柄な選手を相手にしても簡単にボールを取られませんでしたからね。
また、守備でも献身的なチェイシングを試合終了間際までこなしていましたし、彼はもっと評価はされるべきだと思います。
来季は監督がミシャ(ペトロビッチ)に代わりますが、2017シーズンよりも活躍するのではないでしょうか。
後、非常に効いていたのが水沼宏太(セレッソ大阪)でした。
90分エネルギッシュに走り回れる彼の特長は、やはり、ユン・ジョンファン監督の求めるものにマッチしていましたね。
FC東京から期限付き移籍でやってきた当初ベンチメンバーの可能性もありましたが、夏頃に右サイドのレギュラーポジションを奪取すると、まさに不動の選手となりました。質と量の両面で貢献できる貴重な選手だと思います。
――色々と名前が出てきましたが、まだ伊東純也などの名前が出ていませんが?
それはこれから話そうとしたところです(笑)
というのも、「攻撃的MF」と一つにまとめることに限界がありますし、様々なタイプを選びたいんですよね…。
なので、上述の中村憲剛は主に「ラストパスで崩す攻撃的MF」に分け、もう一人は「個人技で打開する攻撃的MF」で選びたいと思います。
となれば、真っ先に浮かんでくるのが伊東純也です。
「俊足」というところばかりが脚光を浴びているようですが、それ以前に、そもそもドリブル能力自体が高いんですよね。
トップスピードに頼るのではなく、緩急で切り崩せる選手で無駄なフェイントもない。DFラインを切り裂いてからのプルバック(切り込んでのマイナス気味のクロス)の殺傷能力は特筆に価します。
また、彼がバイタルエリアやペナルティエリア内でドリブルを仕掛けたら、何かが起こりそうな雰囲気がありますよね。なんかボヤっとした表現ですが、アタッカーにはそういう雰囲気的な面も大事だと思っているので、そういう点も評価したいです。
後は、カットインからのシュートの精度と力が備われば鬼に金棒なんですが、それは今後の課題でしょうか。利き足は違いますが、リヴァプールで爆発中のサラーのような選手になったら面白いですね。
また、同様に「局面打開」において強烈なインパクトを残した選手がいます。マルティノス(横浜F・マリノス)です。
マリノスは攻撃時に組織力を感じさせられるシーンがあまりなかった印象ですが、それでもリーグ上位に食い込めたのは、彼の圧倒的な個人技があったからこそでしょう。
シーズン途中にエース齋藤学の怪我やスタメンの組み合わせ変更などもあり、起用されるポジションは右サイドになったり左サイドになったりましたが、いずれも圧倒的な存在感を見せました。
一度スピードに乗らせたら手が付きませんし、一人でシュートまで持っていっちゃいますからね…「戦術はマルティノス」というキーワードがよぎる試合は何度もありました。
――では以上を踏まえて、ベスト5を!
「やっぱり5人に絞るのは難しいです!」とゴネたいところなんですが…(汗)
このようなランキングでいきたいと思います。
1位:中村憲剛(川崎フロンターレ)
2位:伊東純也(柏レイソル)
3位:阿部浩之(川崎フロンターレ)
4位:マルティノス(横浜F・マリノス)
5位:アダイウトン(ジュビロ磐田)