日本を惑わしてきたネイマールのハイブリッドさ
ネイマール自体の「アナーキーさ」も日本を苦しめている原因だ。
左のインサイドハーフから崩していくブラジルの伝統的な10番スタイルの継承者である彼は、同時に欧州で仕込まれた献身的なウインガーとしてのプレーも選択肢として持っている。
ブラジルの伝統的10番のプレースタイル自体、現代サッカーでは見慣れないものだが、そこにウインガーとしての要素まで加わっているのだからやりにくいことこの上ない。こちらも、先述のブラジルサッカーのスタイル同様、欧州中の猛者達を苦しめてきた要素である。日本のレベルと傾向になると、それがなおのこと厄介になるのだ。
ちなみに、もう一人「アナーキーさ」を理由に日本を苦しめている選手がいる。ネイマールと入れ替わるようにバルセロナに入団したパウリーニョである。
代表11ゴールのうち2ゴールを日本から奪っている彼は、時にポジションは何処なのか、と揶揄されるほど自由に動く。
その“自由人”過ぎるプレーは、ブラジル人を受け入れる文化を持たないイングランドではうまくいかなかった。しかし、バルサでは最低限守備しながら恐れることなく前線に飛び出すパワフルなプレーがアクセントになっている。中国に渡った彼を獲得した理由は、ネイマールの持つ「アナーキーさ」をバルサに補充するためだったのだ。