今回のブラジル代表は「左で創って右で決める」形を取っていた。

左サイドバックのマルセロ&ネイマールが組み立てと崩しを担い、センターフォワードのガブリエル・ジェズスや右のウィリアン&ダニーロのコンビが決める。スペースに侵入してくるダニーロのラストパス&フィニッシュの精度がもう少し高ければ、あと2、3点は覚悟しておかなければならなかった。

このサッカーを近年の日本は苦手としてきた。アウヴェスが出てこなかったことを感謝しなければならないだろう。

日本人選手はここ数年、欧州に進出し、欧州のサッカーを学んできた。代表監督もここ3代はアルベルト・ザッケローニ、ハビエル・アギーレ、ヴァイッド・ハリルホジッチと西欧サッカーの薫陶を受けた人物だ。それは、戦術と選手の先端化を進めたが、一方でブラジル相手に限っては弱みとなっているのだ。

これは欧州で、戦術の進化に伴って昔に廃れたはずの戦術が有用になる現象(昨今の3バック再流行やレアル・マドリーの4-3-1-2導入等がその代表例だ)によく似ている。

【次ページ】日本を苦しめる2人の“怪物”