あれは単なる惨敗だったのだろうか。それとも何かしらの収穫があったのだろうか。
日本がサッカー王国ブラジルに突きつけられた「1-3」という結果は、見る者によってその受け取り方が違ってくるだろう。
筆者は、この試合でプラスとマイナスの両面を感じ人間だが、その中からテーマを「5つ」に絞り、書き留めておくことにした。
▼判断力が乏しいハリル戦術
おそらく、試合前にハリルホジッチがチームに強く求めたのは「試合序盤の失点は特に気を付ける」ということだったのだろう。
また同時に、「単に引くのではなく、行く時は行く」というものもあったように見えた。試合立ち上がりの数分はDFラインを上げ、前線から積極的にボールを奪いに行く姿勢が見えたからだ。
だが、その肝心な守備は上手くハマらず、徐々にプレス強度も低下。その後は、チーム内での意思統一が見られず、次第にただ引くだけの守備に終始。結果として、卓越した技術を持つブラジルに自由にボールを持たせることになり、失点シーンへ繋がった。
ここで気になったのが、上述した「チーム内での意思統一が見られなかった」という点だ。
今の日本代表は世界と戦うための方針として「ダイレクトプレーを重視したカウンターアタック」を重視しているが、思い通りに行かないケースが目立つ。そして、そのシチュエーションに陥る多くのケースが、「ボールの取り所」が定まらない時だ。そして、このブラジル戦はその代表的な試合となってしまった。
だが言わずもがな、ブラジル相手では簡単にボールを奪い切ることは難しく、プレスを掻い潜られてしまうことは決して恥ずかしいことではない。むしろ、立ち上がりだけでも積極的にボールを奪いに行く姿勢が見られたことを評価するべきだ。
問題なのはその後である。
「前から奪っても上手くいかない」と感じ付いたところで、それでも継続させていくのか、一旦方針を変えて引くのか…。
その判断が選手個々でバラバラだった点であり、意識を共通化できていないシーンが度々見られてしまったことだ。
監督がどれだけ優れた人間であっても、実際に試合をするのは選手である。つまり、その判断をピッチ上で下せることが理想である。
だが、それが難しいチームであるならば、監督がやらなければならないことは増える。
今のチームを見る限りでは、ハリルホジッチは選手たちに明確なルールを授ける必要があるのではないだろうか。