第1位 レバノン代表

潜在的なポテンシャル★★★★★

このランキングで質量共にトップクラスの実力を持った選手が多くいる代表は、レバノンで間違いない。1990年代後半から2000年代初期まで同国代表は多重国籍選手を多く起用しており、シエラレオネ(アフリカ)生まれのロダ・アンタルもその内の一人である。彼はレバノン代表歴代最多得点者であると同時に、フライブルク在籍時にはアジア人初となる「ブンデスリーガ(ドイツ1部)でハットトリック」を達成した。アンタルの成功によって、レバノン代表は国外に住むレバノン系選手を積極的に起用する傾向がある。

現在レバノン代表に招集可能な選手で、アヤックスの中核をなすアミン・ユネス(上記写真)は頭一つ飛び抜けている。彼はほぼ全てのドイツ育成年代に招集された逸材で、華麗なドリブルと卓越したパスセンスで違いを作る選手だ。彼以外のドイツ系では、ブンデスリーガ2012-2013シーズンに8得点2アシストを記録したダニ・シャヒン(オランダ1部ローダJC)がいる。さらにタウフィック・グラッチ(メキシコ系)、ジェロニモ・アメーン(メキシコ系)、ヤミル・アサド(アルゼンチン系)と世界各地にレバノン系選手が点在している。

レバノンは1975~76年に内紛が起きて以降足掛け17年におよんだ。この争いによってレバノン人は世界各地に離散し、その後子孫を残している。生まれも育ちも欧州だが、実はレバノン系という選手は多い。

代表チームは既にヨアン・ウマリ(ドイツ系)、フェイズ・シャマシン(ドイツ系)、ソニー・サード(アメリカ系)、バッセル・ジラディ(デンマーク系)らの招集に成功している。これらの選手は西欧の主要リーグ1部から2部でプレーしたケースもあり、東欧・北欧の1部やMLSで活躍している選手も多い。上述のダニ・シャヒンのように「ウクライナで生まれドイツで育ったが実は母親がレバノン人」というように全てのレバノン系選手を把握することは難しいが、実績を残している層が代表に組み込まれた場合、アジアのトップ層に割入る可能性が高い。

これらの選手は視点を変えれば、アジア枠で起用することができる。近年こうした強力な多重国籍の選手たちが、アジア枠で起用されるケースが増えている。例えば元磐田のアヴラアム・パパドプーロス(オーストラリア系ギリシャ人)や山東魯能のジュシレイ(パレスチナ系ブラジル人)などがそのケースに当たる。アジア枠で見れば恩恵を与えてくれる一方で、代表に加われば牙を向けられるリスクも潜在している。今後、アジアのアッカーに大きな影響を与える可能性がある彼らから目を離せない。

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