スローインなどでサイドにボールがある際にも、クロップはコンパクトなプレッシングを強く意識する。
スローインのシーンだが、逆サイドのミルナー(左の7番)の位置が極端にボールサイドに寄っていることが解るだろう。
しかし、サイドに追い込んでいてもクロップのプレッシングは「サイドで奪う」というよりも「サイドで追い込んで、中盤が良い位置でパスカット」という形を意識している。中途半端な内側へのパスを誘発し、そのまま電光石火のカウンター。奪い方に拘るユルゲン・クロップの得意とする形だ。
前述したように、当然CFが前を切ることをしないので、相手CBは写真の様にフリーとなり、直接ロングボールを狙ってくることがある。
プレッシングが間に合わずにロングボールを蹴られ、空中戦に持ち込まれてしまうことは、バルセロナの様なハイプレッシングを得意とするチームが嫌がることではあるが、ミドルプレッシングでのボール奪取を重要視するクロップのチームはそれを厭わない。ドルトムントではフンメルスとスボティッチ、現在のリバプールではシュクルテルとサコーが組むセンターラインはロングボールに強く、むしろ蹴らせておいて中盤がボールを回収することを狙いとする。
ユルゲン・クロップが理想とするボール奪取が、正にこの形だ。サイドに追い込んで、相手CFが下がらなければならない状況を作り出す。そこで密集地に相手を追い込み、マーカーのCBが非常に高い位置でボール奪取を狙う。
ここでセカンドボールがシュクルテルのタックルによって前に落ちれば、取り囲んだ中盤が簡単に前を向くことが出来る。そうなれば、一気に残っているアタッカーを使ってショートカウンターの形を作り出せるという訳だ。