英国を席巻する2人のドリブラーの思考。
まずは、クリスティアーノ・ロナウド、リオネル・メッシに比肩するとも囁かれるベルギーの新星、チェルシーFCでも活躍するエデン・アザールを取り上げていきたい。
以前も コラムで取り上げた彼だが、今シーズンの活躍は今まで以上に注目に値する。ラボーナを含めたトリックスターの名に相応しいスキルの幅、計算しつくされたタイミングでの仕掛け。鳳凰として飛翔しつつある若き天才に、限界はない。
彼は、Four Four Two紙のインタビューに対して、ドリブルに関する面白いコメントを残している。
「僕はドリブルで内側に切り込むことも、外側をすり抜けていくことも好きだ。重要なことは、DFに考えさせること、予測させることだ」
http://performance.fourfourtwo.com/pro-tips/eden-hazard-rise-to-the-top
そして2人目は英国の新星、ラヒーム・スターリング。QPRのユースからリバプールへと引き抜かれ、ウルグアイ代表のFW、ルイス・スアレスと共にプレーを重ねる中で劇的な進化を見せたウインガーは、イングランド代表でも中核を担うまでに成長した。
彼もアザールと同様に、Four Four Two紙のインタビューに答えている。
「ドリブルをしている時に覚えておくべき最も大切なことは、顔を上げておくことです。DFを見ることに加え、その選手を抜いた場合に生まれるオプションについて考えておく必要があるからです。顔を下げていては、タックルされる確率も上がるでしょう。相手のゴールの方向を向くことによって、ギャップを見つけることが出来ます。ドリブルは相手を抜くものではなく、危険なエリアへとボールを運ぶものなのです」
「多くの場合、私は先に動くのではなく、相手DFの動きを待って仕掛けます。DFにチャレンジさせていくことが大事なのです。ただ走るのではなく、相手にフェイントをかけて動かすこと、それによってボールを運ぶ位置が決まってきます」
「以前はストップ&スタートで緩急を使って相手を抜き去って行くようなプレーを好んでいましたが、指揮官にもっと直接的に、アグレッシブに仕掛けることをアドバイスされてからは、そういった意識も持っています。しかし、最も大切なことはそれを組み合わせること。相手DFにとっての予測を難しくすることです」
彼らのインタビューに共通する重要なポイントは1つ。相手DFの迷いを生むという意識だ。相手の選択肢を増やし、駆け引きを仕掛ける。自らの技術への拘りだけでなく、相手の思考を読むことでその技術を最大限に生かす意識。それこそが、彼らを世界のトップクラスに押し上げている。
面白いことに、2012年のインタビューにおいては、アザールは相手DFに関して言及していない。
「スピードとドリブル、それからアドリブの力かな。それらをうまく引き出そうと常に努力している。現代サッカーでは守備であれ攻撃であれ、トップスピードでプレーする必要がある。サッカーの水準が上がれば、そのペースに合った速いプレーが求められるんだ」
http://www.soccer-king.jp/sk_column/article/33074.html
そういった意味では、プレミアリーグに来てからのこういった意識の変化が彼の成長を支えている側面があるのかもしれない。ラヒーム・スターリングも、若くして自分の技術をハッキリと言語化出来るようになっており、自分のプレーに確固たる目的があることを伺わせてくれる。
では、日本人選手へと移ってみよう。