セレソンに死角がないかといえばそうでもない。

まずはFWだ。23人のメンバーのなかでストライカーは実質フレッジとジョーの2人だけで、そのエースのフレッジは代表戦との両立や怪我により所属するフルミネンセで満足に出場できない時期が長かった。ジョーではやや頼りないだけにフレッジが故障するようなことがあれば途端に厳しさは増すだろう。

また、中盤にはオスカル、エルナネス、ウィリアンといったチームに忠実でシンプルなプレーを得意とする選手が名を連ねるが、彼らは一様にアイディアが豊富な典型的な10番ではない。ドゥンガ体制の下同じく前年にコンフェデを制し、圧倒的な優勝候補として臨んだ前回大会は、リードされ相手に守備を固められた状況でのアイディアに乏しく、敗退後には変化を付けられるロナウジーニョやガンソら国民が愛する“古典的10番”の待望論が噴出した。

それからフィジカルを強みとした欧州勢との相性の悪さだ。フェリポン体制以後22戦16勝4分2敗、現在9連勝中と抜群の強さを発揮しているブラジルだが、4分中3分が欧州勢で2敗がイングランドとスイス。コンフェデで下した欧州勢はスペイン、イタリアのラテン国家でいわゆる強さを武器にした国ではなく、よりパワーを長所としたチームには分が悪い。細身のネイマールが欧州で苦しんでいる点も懸念材料の1つだろう。