ブラジルのサッカーといえば世界最高峰のテクニックを駆使したゆったりしたパスワークから選手個人がそれぞれの創造性を発揮しつつ、勝負所で瞬間的に速度を上げる緩急が最大の魅力であろう。一方で基礎的な能力に優れているため全く異なる戦術への対応も可能でピッチ上での修正能力がずば抜けて高いのも特徴だ。

威厳に満ち溢れ、規律とグループの構築を何より重んじるフェリポン体制のセレソンでは誰1人自分勝手なプレーは許されなかったが、選手はコンフェデでこの要求に見事に呼応。その結果、フェリポンは同大会のメンバーを中心に据えることを決め、1年経ったこの本大会でもチームとして闘える選手だけを新たに追加するに留めた。

それでは今回のメンバーと戦い方を紹介していこう。

4-4-2、4-2-3-1をベースに1トップのフレッジ以下10枚がしっかりブロックを形成。相手に圧力をかけ奪った瞬間に動き出すネイマールら前4枚に素早く預けてからのカウンター攻撃がこのチームの基礎となる。ちなみにフォーメーションが2パターンあるのはネイマールがシャドー気味のFWに入るか左サイドに入るかの違いで、基本的に2列目のオスカル、フッキとの3人は流動的に動く。

そこにミドルシュートが得意なパウリーニョ、両サイドバックのダニ・アウヴェス、マルセロが絡んで厚みを出す一方、唯一ルイス・グスタヴォが後ろに残って守備エリアをカバー。ビルドアップの時にも最終ラインに吸収されてチアゴ・シウヴァ、ダビド・ルイスと3人になることもある。